
この記事のポイント
- スペインの労組CCOO書記長ソルド氏が、病気休業をめぐる政治論争を『虚偽に基づく』と批判した。
- 正当な病気休業と単なる欠勤(アブセンティスモ)の混同が、論争の主要な争点になっている。
- 休業者を怠けと見なす言説が、療養中の労働者への偏見を助長しかねないと懸念されている。
労組書記長が「誤情報の議論」を批判
スペインで、労働者が病気やけがで仕事を休む「病気休業(スペイン語でbaja laboral、バハ・ラボラル)」の増加をめぐる論争が過熱しています。こうしたなか、スペイン最大級の労働組合の一つCCOO(労働者委員会)の書記長ウナイ・ソルド氏が、この議論は「事実に基づかない虚偽(falsedades)の上に成り立っている」として強く批判しました。CCOOは、UGT(労働者総同盟)と並ぶスペインの二大労組の一つで、政策論争でも大きな発言力を持ちます。
「欠勤」と「病気休業」の混同が争点に
論争の背景には、近年スペインで病気休業の件数が増えている実態があります。一部の政治勢力はこれを問題視していますが、労組側は、正当な医師の診断に基づく休業と、単なる無断欠勤や勤怠不良(スペイン語でabsentismo、アブセンティスモ=欠勤・出勤率の低さ)とを意図的に、あるいは不正確に混同している、と反発しています。
報道によれば、この点は保守系の主要野党である国民党(PP)とその党首フェイホー氏の発言をきっかけに政治問題化し、与党側や労組から「病気休業と欠勤は別物だ」との反論が相次いだとされます。批判を受けたPP側は、その後「不正な欠勤」や介護目的の休みといった論点に主張を絞り込む形で説明を修正したと伝えられています。
「病気の労働者」への偏見を懸念
ソルド氏の主張の核心は、休業者を一括りに「怠けている」と見なすような言説が、実際に体調を崩して療養している労働者への偏見を助長しかねない、という点にあると考えられます。病気休業の増加には、労働環境やメンタルヘルス、人口の高齢化など複数の要因が関わるとされ、単純化した議論では実態を捉えられないという指摘です。ただし、増加の具体的な原因や統計の解釈については専門家の間でも見方が分かれており、断定的な結論には至っていません。
日本でも傷病手当や休職制度のあり方は関心の高いテーマであり、「休む権利」と「制度の適正利用」をどう両立させるかという点で、スペインの論争は示唆に富むといえそうです。
※本記事はスペインの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。




