
この記事のポイント
- スウェーデン総選挙後、SDのエーケロート氏が敗因を「海外からの票」と発言し波紋が広がった。
- röstboskapは「票の家畜」を意味する造語で、動員された投票者を指す侮蔑的な表現とされる。
- 国政選挙の投票権はスウェーデン国籍者に限られ、外国籍住民は地方選挙にしか参加できない。
スウェーデンの総選挙をめぐり、右派政党スウェーデン民主党(SD、Sverigedemokraterna)のエーケロート氏の発言が波紋を広げている。日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(DN)の速報によると、同氏は党の得票が伸び悩んだ理由について、海外からの「票の家畜(röstboskap)」が原因だという趣旨の主張を展開した。
「röstboskap」とはどんな言葉か
スウェーデン語の röstboskap は「票(röst)」と「家畜(boskap)」を組み合わせた造語で、自分の判断ではなく誰かに動員されて投票する集団、という侮蔑的なニュアンスを持つ。そこに「från utlandet(海外からの)」が付くことで、外国にルーツを持つ有権者の票が結果を左右した、という含意になる。人を家畜にたとえる表現であり、スウェーデン国内でもかなり強い言葉として受け止められる。ただし発言の全文や前後の文脈は限られた形でしか伝わっておらず、同氏が具体的に誰を指したのかを断定することはできない。
スウェーデン民主党(SD)とは
SDは移民の受け入れ制限と厳罰化を前面に掲げる右派政党で、2022年の総選挙では第2党に躍進し、中道右派の少数政権を閣外から支える立場を得た経緯がある。日本でいえば、閣僚を出さずに予算や法案で政権を支える「協力政党」に近い立ち位置だ。今回の選挙では同党が票を減らしたと各紙が伝えており、その原因をめぐる党内外の議論の一環として今回の発言が出た形になる。確定的な得票率や議席数は最終集計を待つ必要がある。
「海外から」の票とは——制度面の補足
スウェーデンの国政選挙(一院制の議会リクスダーゲンの選挙)で投票できるのは18歳以上のスウェーデン国籍保持者で、国外在住者も在外投票が可能だ。一方、外国籍の住民は国政選挙には参加できず、一定期間の居住などの条件を満たした場合にコミューン(基礎自治体)や県の地方選挙にのみ投票できる。つまり「海外から票が流れ込んだ」という言い方は制度上そのままでは成り立たず、実際には移民の背景を持つ有権者の投票行動を指している可能性が高いが、これはあくまで一般的な推測にとどまる。
今後の焦点
敗因を有権者の属性に帰する言説は、欧州各国の選挙後にしばしば現れる。スウェーデンでも、こうした発言が党の指導部からどこまで共有されるのか、それとも距離を置かれるのかが注目点となる。移民政策を最大の争点としてきたSDにとって、支持の後退をどう説明するかは今後の党運営そのものに関わる問題だ。
※本記事はスウェーデンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Dagens Nyheter




