
この記事のポイント
- ポーランド特殊部隊GROMの元司令官が「爆弾が降る戦争にはならない」と発言し話題に。
- 想定すべきはドローンやインフラ妨害、偽情報など特定困難な「ハイブリッド脅威」だ。
- NATO東側最前線のポーランドでは、どんな戦争を想定するかが生活に直結する論点となる。
ポーランドのニュースサイト「Onet(オネット)」が、同国の特殊部隊「GROM(グロム)」の元司令官へのインタビューを報じ、現地で話題になっている。見出しに掲げられたのは「人々は爆弾が降ってくると思っている。だが、そういう戦争にはならない」という趣旨の発言だ。安全保障への不安が高まるポーランド社会に対し、実際に備えるべき脅威の姿は多くの人が思い描くものとは違う、と指摘する内容とみられる。
そもそもGROMとは
GROMは1990年に創設されたポーランド軍の特殊部隊で、正式名称は「機動即応作戦グループ」にあたる。ポーランド語の「grom」は「雷」を意味する。人質救出や対テロ、偵察などを主任務とし、旧東側諸国の部隊としては早い時期からNATO(北大西洋条約機構)式の運用・訓練を取り入れ、国外の多国籍作戦にも加わってきた。日本でいえば陸上自衛隊の特殊作戦群に近い位置づけだが、国際的な知名度はGROMのほうが高い。その元トップの発言であるため、現地では重みをもって受け止められている。
「爆撃=戦争」という思い込みへの異議
発言の核心は、戦争を「空襲やミサイル」と等号で結ぶ一般的なイメージへの異議にある。都市に爆弾が落ちる光景だけを想定していると、それ以外の形で圧力がかかったときに、社会が何が起きているのか認識できないまま対応が遅れる——そうした問題意識がうかがえる。なお、インタビュー本文の詳細までは確認できておらず、以下は見出しの趣旨を踏まえた一般的な背景解説である。
欧州で語られる「見えにくい脅威」
近年の欧州では、正規軍同士の正面衝突とは異なる形の圧力が繰り返し議論されてきた。国籍不明のドローンによる領空侵入、海底ケーブルやパイプラインの損傷、鉄道や物流への妨害、重要インフラを狙ったサイバー攻撃、SNSを通じた偽情報の拡散、国境地帯での移民流入の政治利用などである。こうした事象は、誰がどの意図で行ったのかを特定しにくく、「攻撃」と断定して反撃することも難しい。専門家の間では「ハイブリッド脅威」と総称され、対応の主役は軍だけでなく警察・通信・電力・自治体・市民にまで広がるとされる。
ポーランドが敏感な理由
ポーランドはウクライナおよびベラルーシと国境を接し、NATOの「東側の最前線」に位置する。歴史的にも東西の大国に挟まれてきた経験から、安全保障は政治の中心的テーマであり、国防費の増額や領土防衛部隊の拡充が続いてきた。だからこそ「どんな戦争を想定するか」という問いが、机上の議論ではなく生活に直結する話題として受け止められる。
日本の読者にとっての意味
この議論は遠い国の話にとどまらない。海底ケーブルや電力網、行政システムへの攻撃、偽情報による世論の分断といった課題は、島国である日本にも共通する。「爆弾が降ってこなければ平時」という前提が揺らぎつつある、という点にこそ、元司令官の発言が現地で反響を呼んだ理由がありそうだ。
※本記事はポーランドの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Wiadomości Onet




