
この記事のポイント
- ハーグの広場での極右系デモで、差別的言動やナチス式敬礼、暴力行為が確認された。
- オランダの検察OMと警察が、差別と暴力の両面について捜査を進めている。
- デモ自体は認めつつ違法行為は取り締まる、という線引きが議論の焦点になっている。
ハーグの広場で起きたこと
オランダの政治の中心地ハーグ(デン・ハーグ)にある大きな広場「マリエフェルト(Malieveld)」で先の週末に開かれた極右系の抗議デモをめぐり、現地で人種差別的なシュプレヒコールやナチス式敬礼(ヒトラー式敬礼)、参加者による暴力行為が確認されたと地元メディアが伝えています。マリエフェルトは国会議事堂や省庁が集まる区域のすぐ近くにあり、農業者の抗議から労働組合の集会まで、オランダで全国規模のデモが開かれる定番の場所です。日本でいえば、国会前の広場に近い象徴的な意味を持つ空間だと考えると分かりやすいでしょう。
焦点は「検察は起訴するのか」
報道の焦点になっているのは、オランダの検察にあたるOM(Openbaar Ministerie、検察庁)がこの件をどう扱うのかという点です。オランダでは警察がまず事実関係を捜査し、その結果を踏まえてOMが起訴するかどうかを判断します。今回は差別的言動と暴力の両面について捜査が行われていると報じられています。
一般論として、オランダの刑法には、人種や信条などを理由に集団を侮辱する行為や、憎悪・差別をあおる行為を処罰する規定があります。ナチス式敬礼そのものを名指しで禁じる条文はドイツのような形では存在しないとされますが、状況によってはこうした差別関連の規定や公共秩序に関する規定で問われ得る、というのがこれまでの議論の枠組みです。ただし、実際に誰がどの罪で立件されるかは捜査の結果次第で、現時点で確定的なことは言えません。
「表現の自由」との緊張
オランダはデモの自由を強く保障する国で、内容が過激であっても集会そのものは原則として認めるべきだ、という考え方が根強くあります。今回も、デモを開催させること自体は容認しつつ、そこで行われた個々の違法行為は別途取り締まるべきだ、という整理が議論の中心になっています。移民政策をめぐる対立が深まる欧州で、どこまでが政治的表現で、どこからが処罰されるべき差別・暴力なのか。オランダの司法判断は、同じ問いを抱える他国からも注目されそうです。
※本記事はオランダの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:volkskrant.nl




