
この記事のポイント
- プーチン大統領が大統領令で、独メトロのロシア事業の資産を「UKトルグRUS」の一時管理下に置いた。
- ロシアは2023年以降、非友好国の企業資産を一時管理する仕組みを使い、ダノンなども対象になった。
- 管理者は現在のロシア法人トップと同じ人物とされ、今後の事業や売却への影響はまだ不透明だ。
大統領令でメトロのロシア事業が一時管理下に
ロシアのプーチン大統領は大統領令に署名し、ドイツの流通大手メトロ(Metro)のロシア事業「メトロ・キャッシュ・アンド・キャリー」の資産を、「UKトルグRUS」という管理会社の一時管理下に置きました。ロシアの経済誌フォーブス・ロシア版や独立系メディアのメドゥーザ、ドイツの国際放送DWなどが伝えています。
メトロは事業者向けの会員制卸売チェーンを運営するドイツの企業です。ロシアには2000年代初めに進出し、モスクワをはじめ各地に大型店舗を展開してきました。2022年のウクライナ侵攻開始後、多くの欧米企業がロシアから撤退しましたが、メトロは食料品など生活必需品の供給を理由に事業を続けており、欧米では批判も受けてきました。
「一時管理」とは何か
ロシアでは2023年以降、「非友好国」とされた国の企業が持つロシア国内資産を、大統領令によって一時的な管理下に置く仕組みが使われています。これまでに、フランスの食品大手ダノンやデンマークのビール大手カールスベルグの現地事業などが対象になりました。所有権そのものは形式上残りますが、経営の実権は政府が指定した管理者に移ります。ロシア側は、西側諸国によるロシア資産の凍結・差し押さえへの対抗措置と位置づけています。
管理者は現在の経営トップと同一人物
今回の措置で注目されているのは、管理を任された人物です。独立系紙ノーバヤ・ガゼータによれば、一時管理を担うのは、現在もロシアのメトロを率いている人物と同じだといいます。つまり、経営の顔ぶれは大きく変わらない可能性があります。経済紙ベドモスチは、メトロ側がこの決定について説明を行ったと報じていますが、その詳細な中身は現時点の報道からははっきりしません。
過去の事例では、管理権を移された後、外国企業が事業の売却や撤退に向かうケースもありました。今回の措置がメトロ本社とロシア事業の関係、さらに将来の資産売却にどう影響するのかは、現段階では見通せません。現経営陣による管理という形をとったことから、事業の継続性を保つねらいがあるとの見方もできますが、これは推測の域を出ません。
日本の読者にとっての意味
ロシアには日本企業も数多く進出しており、事業を続けている企業も少なくありません。外国企業の資産の扱いが政治判断で変わりうる現状は、ロシアでのビジネスリスクを改めて浮き彫りにしています。今後、どの企業が同様の措置の対象になるのかにも関心が集まりそうです。
※本記事はロシアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Forbes.ru




