
この記事のポイント
- ドイツの家族相プリーン氏が、自分の省が進めてきた育児手当の削減案を見直す考えを示した。
- エルターンゲルトは最長14か月だが、改革案では財政難を理由に合計12か月へ短縮するとされていた。
- 父親の育休取得への影響を懸念する声もあり、撤回されるかどうかは今後の予算協議次第だ。
自ら進めた削減案に「待った」
ドイツで、育児手当「エルターンゲルト(Elterngeld)」の制度改革をめぐり、連邦家族省が方針転換を検討していると、ツァイト紙、公共放送ARDのニュースサイト「tagesschau.de」、経済紙ハンデルスブラット、ヴェルト紙など複数の主要メディアが報じています。焦点は、支給期間を最長12か月に短縮する案です。この節約策はカリン・プリーン連邦家族相の省が自ら進めてきたものですが、プリーン氏は「節約策をもう一度検討したい」との考えを示したと伝えられています。
エルターンゲルトとはどんな制度か
エルターンゲルトは、子どもが生まれた後に仕事を休んだり減らしたりする親の収入減を補う公的給付で、2007年に導入されました。出産前の手取り収入のおおむね6割台が支給され、上限と下限が設けられています。現行制度では、一方の親だけが取得する場合は最長12か月ですが、もう一方の親も取得すると「パートナー月」として2か月上乗せされ、合計で最長14か月となります。父親の育児参加を促す仕組みとして定着しており、日本の育児休業給付金に近い制度といえます。
財政難のなかの節約策
報道によると、改革案は支給期間を合計12か月に抑える内容とされています。背景には連邦政府の厳しい財政事情があります。キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ首相が率いるCDU・社会民主党(SPD)の連立政権は、国防やインフラへの支出を増やす一方で、社会保障を含む各分野の歳出抑制を迫られています。エルターンゲルトは利用者が多く年間の給付総額も大きいため、節約の対象として取り上げられてきました。
しかし、子育て世帯への給付を減らすことには、家族団体や野党などから反発が出ていました。とくに「パートナー月」の縮小や廃止は、父親の育休取得を後押ししてきた効果を弱めかねないとの懸念が指摘されています。
方針転換は実現するか
今回伝えられているのは、あくまで「見直しを検討する」段階の発言であり、削減案を正式に撤回するのか、代わりの財源をどこに求めるのかといった具体的な内容は、現時点の報道からははっきりしません。CDU出身のプリーン氏は教育・家族・高齢者・女性・青少年を所管する大臣で、自らの省の節約案に異を唱えるかたちとなったことから、ドイツメディアはこれを「方針転換」と伝えています。
一般論として、予算を削る案を見直すには、財務省や連立相手との調整が欠かせません。少子化対策と財政規律をどう両立させるかは、日本とも共通する課題です。ドイツ政府が最終的にどのような判断を下すのか、今後の予算協議が注目されます。
※本記事はドイツの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:DIE ZEIT




