
この記事のポイント
- シベリアの肺ペストを扱う研究所で、28歳の科学者ダリア・シピロワさんが死亡したとイタリア紙が報道。
- 「病原体が誤って放出された」との見方が伝えられているが、詳しい経緯は今のところ明らかになっていない。
- 専門家は、肺ペストは治療しなければ致死率がほぼ100%で、古い抗生物質でも50%程度にとどまると指摘している。
イタリア主要紙が報じた「シベリアの謎」
ロシア・シベリアにある肺ペストを扱う研究所をめぐる出来事が、イタリアのメディアで大きく取り上げられています。同国を代表する日刊紙コリエーレ・デラ・セラは、研究所に勤めていた28歳の女性科学者ダリア・シピロワさんが死亡したと伝えました。見出しには「感染性の病原体が誤って放出された」という言葉が引用されており、研究施設での事故の可能性が示されています。
ただし、死亡に至った詳しい経緯や、病原体がどのように放出されたのかについては、現時点の報道からは明らかになっていません。イタリアでは「謎」「疑問」といった言葉とともに報じられており、事実関係の解明が待たれる段階です。
肺ペストとはどんな病気か
ペストはペスト菌による感染症で、中世ヨーロッパで「黒死病」として大流行したことで知られます。主に、リンパ節が腫れる「腺ペスト」、菌が血液に広がる「敗血症ペスト」、肺に感染する「肺ペスト」に分けられます。なかでも肺ペストは、せきなどの飛沫で人から人へうつる可能性があり、進行が速いことから、最も危険な病型とされています。
イタリアの経済紙イル・ソーレ・ヴェンティクワトロ・オーレは専門家の見解として、肺ペストは治療しなければ致死率がほぼ100%に達し、古くからある抗生物質を使っても50%程度にしか下がらないと伝えました。早く見つけて早く治療を始めることが、生死を分ける重要な点だといえます。
今も世界に残る感染症
ペストは過去の病気と思われがちですが、現在も世界の一部の地域では、野生のげっ歯類などの間で菌が残っており、散発的に人への感染が報告されています。ロシアや中央アジアの草原地帯にもこうした地域があるとされ、ワクチンや治療法の研究、監視のための研究施設が置かれています。危険な病原体を扱う施設では、厳しい安全管理が求められます。
なぜイタリアで注目されるのか
イタリアでは、新型コロナウイルスの流行で欧州でもいち早く大きな被害を受けた経験から、病原体の起源や研究所の安全管理をめぐる話題への関心が高いといわれます。今回の件も、若い研究者の死という痛ましい出来事であると同時に、高い危険度の病原体を扱う施設の透明性という観点から注目されているとみられます。ロシア側からの公式な説明がどこまで示されるかが、今後の焦点になりそうです。
※本記事はイタリアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Corriere della Sera




