
この記事のポイント
- ポーランド政府のベレク氏が、ナヴロツキ大統領のインタビュー発言に「何と答えればいいのか」と反論した。
- 憲法法廷は2015年以降のPiS政権時代の人事が原因で、正当性をめぐって政権と大統領の対立が続いている。
- 憲法法廷の「転機」も取り沙汰されているが、大統領との溝は深く、すぐに決着するかは見通せない。
大統領のインタビューに政府側が反応
ポーランドで、憲法法廷(TK)のあり方をめぐって政府と大統領の対立が再び注目されています。現地の複数のメディアによると、トゥスク政権の閣僚マチェイ・ベレク氏が、カロル・ナヴロツキ大統領がポータルサイト「Interia」のインタビューで語った内容に反論しました。ベレク氏は「何と答えればいいのか」と述べ、大統領の主張に強い違和感を示したと伝えられています。見出しでは、憲法法廷で近く「転機(突破口)」が訪れるとの見方も紹介されています。ただ、その具体的な中身や時期は、現時点の報道の要約からは確認できません。
憲法法廷とは、なぜ争点なのか
憲法法廷は、法律が憲法に合っているかを判断する機関で、日本でいえば最高裁判所の違憲審査の役割を独立した裁判所が担っている形です。ポーランドでは2015年以降、当時の与党「法と正義(PiS)」のもとで裁判官の選び方が問題になりました。欧州の裁判所や国内の法律家からは、法廷の独立性や正当性を疑う声が上がってきました。
2023年の総選挙で政権を取ったトゥスク首相の中道連立政権は、憲法法廷の現体制を正当と認めない立場をとっています。一方、PiSの支援を受けて2025年に就任したナヴロツキ大統領は、現体制を認める立場とされます。大統領は法案に拒否権を持っているため、政権が進めようとする司法制度の立て直しは思うように進んでいません。
「王の時代ではない」との批判も
今回のやり取りの周辺では、ほかの政治家からも大統領への批判が出ています。元財務相のダリウシュ・ロサティ氏は、大統領の憲法法廷への対応について「今は王の時代ではない」と述べたと報じられました。大統領が個人の判断で制度の行方を左右することへの警戒感がうかがえます。また、法相経験者のアダム・ボドナル氏は、憲法法廷の長官の不逮捕特権(免責特権)の解除を求める申し立てが出る可能性に触れたと伝えられています。
今後の見通し
憲法法廷では今後、裁判官の任期切れや新しい裁判官の選出が順次やってくるとみられます。そのため、政府側は人事の入れ替えを通じて状況が変わることを期待しているとの見方があります。ただ、新しい裁判官の就任に大統領がどう関わるかなどをめぐって、両者の解釈の違いは大きいままです。すぐに決着する可能性は低いとみられます(編集部の推測)。司法の独立をめぐるこの対立は、EUとの関係や2027年に予定される次の総選挙にも影響しうるテーマとして、引き続き注目されそうです。
※本記事はポーランドの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:PolsatNews.pl




