
この記事のポイント
- スペインの国民党(PP)とVoxが上院選で協力し、Voxは6県、PPは3県で候補者を立てないことで合意した。
- 上院は県ごとに多数代表制に近い仕組みで選ばれるため、右派の票が割れないよう候補者をすみ分けるねらいがある。
- Voxが受け入れさせた「独立系」候補が実際にはVoxに近い人物だという報道があり、批判が出ている。
保守2党が上院選で「すみ分け」
スペインで総選挙が近づくなか、中道右派の最大野党・国民党(PP)のアルベルト・ヌニェス・フェイホー党首と、右派ポピュリスト政党Vox(ボックス)のサンティアゴ・アバスカル党首が、上院選での選挙協力に合意しました。現地紙エル・コンフィデンシアルなどが報じています。合意では、Voxが6つの県で、PPが3つの県で上院の候補者を立てず、互いに相手を助ける形になります。全国規模の選挙でこの2党が候補者をすみ分けるのは異例で、現地メディアは「歴史的」と伝えています。
なぜ上院で協力するのか
スペインの議会は下院(代議院)と上院の二院制です。上院の議員の多くは県ごとに直接選挙で選ばれ、本土の県では1県につき4議席が割り当てられています。有権者は候補者個人に最大3票を入れられるため、得票の多い政党が議席の大半を取りやすい、多数代表制に近い仕組みです。そのため右派の票がPPとVoxに割れると、左派の候補が得をする県が出てきます。今回の合意は、こうした票の分散を防ぐねらいがあるとみられます。下院では比例代表制が使われるため、協力の効果が特にはっきり出るのが上院だと言えます。
「独立系」候補をめぐる疑問
一方、エル・パイス紙などは、合意の一部としてVoxがPPに受け入れさせた「独立系」の上院候補について、実際にはVoxとの関わりが深い人物だと指摘しています。報道によると、Voxの有力政治家オルテガ・スミス氏の元広報責任者や、バレンシア州のマソン前政権(PPがVoxと連立していた時期がある)で州の閣僚を務めた人物などが含まれています。PPが中道の有権者に配慮して「独立系」と打ち出しても、実態は極右との連携ではないかという批判につながるおそれがあります。
今後の焦点
PPはこれまで、Voxと距離を置く姿勢と、連携して政権を取りにいく現実路線との間で揺れてきました。今回の合意は、選挙後の政権づくりもにらんだ協力の地ならしとみる見方もあります。ただ、合意がどれだけ票の上積みにつながるのか、また中道層が離れる心配はないのかについては、現時点でははっきりしません。具体的にどの県が対象になるかや、選挙後の協力の行方が、これからの注目点になりそうです。
※本記事はスペインの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:El Confidencial




