
この記事のポイント
- 州議会選を直前に控え、複数の世論調査でSPDが極右AfDを僅差で逆転したと報じられた。
- 舞台は旧東ドイツにあたる人口約160万人の北東部の州で、AfDが強い地域とされる。
- SPDの追い上げは現職州首相シュヴェージヒ氏個人の評価に支えられているとの見方が出ている。
投票直前に入れ替わった「1位」
ドイツ北東部のメクレンブルク=フォアポンメルン州で行われる州議会選挙を数日後に控え、現地の複数の世論調査で社会民主党(SPD)が右派ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢」(AfD)を僅差で上回ったと報じられています。公共放送ZDFの政治調査番組「ポリートバロメーター」など、複数の調査機関が同じ傾向を示したことで、ドイツ国内では「投票直前で力関係がひっくり返った」と受け止められています。
ただし、ここで示されているのはあくまで選挙前の世論調査であり、実際の得票ではありません。差は「僅差」とされており、調査には誤差もあります。どちらが第1党になるかは開票を待たなければ確定しないというのが、現地報道にも共通する慎重な見方です。
メクレンブルク=フォアポンメルン州とは
メクレンブルク=フォアポンメルン州は、バルト海に面したドイツ北東部の州です。旧東ドイツ地域にあたり、人口は約160万人と16ある連邦州の中では少なく、経済規模も大きくありません。一方で、リューゲン島やバルト海沿岸のリゾート地を抱える観光地としても知られています。
ドイツは連邦制をとっており、各州が独自の議会と首相(州首相)を持ちます。州議会選挙は教育・警察・地域経済といった州の政策を決めるだけでなく、連邦レベルの政治の「風向き」を測る指標としても注目されます。今回の選挙が国際的にも関心を集めているのは、旧東ドイツ地域でAfDが高い支持を集めてきた流れの中に位置づけられているためです。
SPDが頼る「顔」
SPD側で注目されているのが、同党の州首相であるマヌエラ・シュヴェージヒ氏です。現地報道では、党そのものへの支持というより、長く州政を担ってきた個人の知名度と信頼感が終盤の追い上げを支えているとの見方が紹介されています。ドイツの州選挙では、党名よりも現職トップの評価が結果を左右する場面がしばしばあり、今回もその典型と受け止められているようです。
SPDは連邦レベルでは近年支持の低迷が指摘されてきた政党です。その中で、旧東ドイツの州で首位争いに踏みとどまれるかどうかは、党全体にとっても象徴的な意味を持ちます。
日本の読者が押さえておきたい点
AfDは移民・難民政策への強い反対を掲げる政党で、旧東ドイツ地域を中心に支持を伸ばしてきました。一方、ドイツの他の主要政党はAfDとの連立を拒む姿勢をとってきたため、仮にAfDが得票で首位になっても、そのまま州政権を握れるとは限りません。第1党がどこになるかと、どの政党の組み合わせで州政権が成立するかは、別の問題として見る必要があります。
一般論として、終盤の世論調査は有権者の駆け込み判断を完全には捉えきれず、投票率の高低によっても結果は動きます。今回も、最終盤の情勢が実際の議席配分にどう反映されるかは、開票結果を待つ必要がありそうです。
※本記事はドイツの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:DIE ZEIT




