
この記事のポイント
- フーシ派はイタリアと戦争していないとしつつ、伊軍機のサウジ駐留に言及し警告をにじませた。
- イタリアは参戦国ではないが、紅海・スエズ航路と湾岸協力を通じて当事者性を抱えている。
- EUのカラス上級代表は商船護衛のアスピデス作戦強化を唱え、27か国共通の課題に押し上げた。
フーシ派が名指しした「イタリアの航空機」
米国とイランの軍事衝突が続くなか、イエメンの武装組織フーシ派(正式名アンサール・アッラー。イエメン北部を実効支配し、イランと近い関係にあるとされる)が、イタリアに向けて含みのあるメッセージを発しました。イタリア紙コリエレ・デラ・セラなど現地報道によると、フーシ派側は「我々はイタリアと戦争をしているわけではない」と述べた一方で、「ただし、あなた方の航空機はサウジアラビアにいる」と付け加えました。敵対の意思は否定しながら、イタリア軍機が湾岸地域に展開している事実をあえて指摘する形で、攻撃対象になり得ることを完全には排除しない警告と受け止められています。具体的な機種や規模、駐留の法的枠組みについては現地報道からは断定できません。
なぜイタリアが当事者になるのか
イタリアは米イランの戦闘そのものには参戦していません。しかし地理的に地中海の中央に位置し、スエズ運河と紅海を通る海上輸送路(同国の貿易・エネルギー輸入の大動脈)の安全に強い利害を持っています。加えて、イタリアは湾岸諸国と防衛協力・装備輸出の関係を長く築いてきました。こうした「参戦国ではないが軍を域内に置いている」立場が、今回のような名指しを招きやすい構図になっています。
EUの「アスピデス作戦」強化論
この状況を受け、イタリアのクロゼット国防相が発した懸念に対し、EUのカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表(EUの外交を代表する役職。エストニア首相を務めた人物)が応じ、「アスピデスは強化されるべきだ」と述べたと報じられています。アスピデス(EUNAVFOR ASPIDES)は、紅海を航行する商船を護衛するため2024年に発足したEUの海軍任務で、名称はギリシャ語の「盾」に由来します。カラス氏はこれをイタリア単独の問題ではなくEU加盟27か国全体の課題として位置づけた形で、艦艇の追加派遣や任務範囲をめぐる調整が今後の焦点になりそうです。
日本から見た論点
紅海・スエズ航路が不安定化すれば、船舶は南アフリカの喜望峰回りに迂回せざるを得ず、輸送日数と保険料が上昇します。これは欧州だけでなく、同じ航路を使う日本の物流コストにも波及します。イタリアの動きは遠い国の安全保障論議に見えますが、海上輸送路を誰がどう守るのかという問題は、日本にとっても他人事ではありません。
※本記事はイタリアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Corriere della Sera




