
この記事のポイント
- 9月のスウェーデン総選挙をめぐり新たな選挙不正の疑いが浮上し、1人が捜査対象となった。
- 左翼党(V)の当事者は捜査の間、職務を離れる「timeout」を続けると党書記長が説明した。
- 政党別の投票用紙と優先投票という独自方式が背景にあり、政権づくりへの影響も論じられている。
スウェーデンで「選挙不正」の疑いが相次ぐ
スウェーデンの主要紙ダーゲンス・ニュヘテル(DN)などが、9月に行われた総選挙をめぐって新たな選挙不正(スウェーデン語で valfusk)の疑いが浮上し、1人が捜査の対象になっていると報じた。すでに表面化していた事案に加え、別の案件も調べられている、という位置づけの続報だ。捜査は進行中で、容疑の具体的な中身や本人側の説明は現時点で確定的には伝えられていない。
スウェーデンの投票の仕組み
スウェーデンの総選挙は原則として9月の第2日曜に実施され、一院制の国会(リクスダーゲン、定数349)と県議会・市議会の選挙が同じ日にまとめて行われる。投票所では政党ごとに別々の投票用紙が用意され、有権者はその中から1枚を選んで封筒に入れ、投じる仕組みだ。さらに候補者名の横にチェック(kryss)を入れることで、党内の誰を優先するかという「優先投票」も示せる。
この方式は分かりやすい半面、投票用紙が投票所の公開の場に並べられることや、事前投票・代理投票の扱いをめぐって、外部から手が加わる余地が以前から指摘されてきた。一般論として語られる不正の類型は、用紙の差し替えや、本人の意思と異なる優先投票の記入などである。今回の案件がどの類型に当たるかは、捜査の結果を待つ必要がある。
左翼党をめぐる「timeout」
今回の一連の報道で焦点になっているのは、左翼党(Vänsterpartiet、略称V)に関わる案件だ。同党の党書記長は、当事者が職務から一時的に離れる「timeout」が捜査の期間中は続くと説明した。また、党首のノーシ・ダドゴスタル氏が沈黙を保っていることへの批判も出ており、党幹部がその対応を問われる形になっている。左翼党は旧共産党の流れをくむ左派政党で、近年は社会民主労働党を軸とする左派ブロックの一角を占めてきた。
政権づくりへの影響は
スウェーデンでは選挙後、国会議長が各党と協議しながら首相候補を指名し、国会で「過半数の反対がなければ承認される」という独特の手続き(消極的議会主義)を経て政権が発足する。議席が拮抗している局面では、小政党の数議席や党の信用問題が交渉の重みを左右しうる。DNの解説記事も、この問題が政権づくりに影響するのかという論点を立てている。ただし現段階はあくまで捜査中であり、結論を先取りすることはできない。
※本記事はスウェーデンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:dn.se




