
この記事のポイント
- スペインの連立与党Sumarは、住宅政策で社会労働党との合意は「まだ近くない」との認識を示した。
- 社会労働党の政令案は賃貸契約の延長を2年までに限っており、Sumarは契約の自動更新を求めている。
- 議会で承認を得るには他党の協力が必要だが、カタルーニャのJuntsは政令案を批判し距離を置いている。
住宅政令めぐり連立与党内で温度差
スペインで深刻化する住宅問題をめぐり、連立政権を組む与党どうしの協議が難航しています。現地報道によると、左派政党連合「Sumar(スマル)」は、ペドロ・サンチェス首相が率いるスペイン社会労働党(PSOE)との住宅政策の合意について「まだ近くない」との認識を示しました。最大の争点は、期限を迎える賃貸契約を自動的に更新する仕組みが案に入っていないことです。
社会労働党案は「延長は2年まで」
報道によれば、社会労働党側は各党に住宅に関する政令(国王令法、いわゆる緊急政令)の案を示しました。案では、賃貸契約の延長期間を2年までに限っています。また、経済的に弱い立場にある人への立ち退き(強制退去)を一定期間禁止する内容も含まれていると伝えられています。
これに対し、Sumarは借り手を守るには不十分だと見ています。契約期間が終わるたびに家賃が大きく引き上げられたり、更新を断られたりするのを防ぐため、契約を自動で延長する仕組みを求めているとみられます。
背景にある家賃高騰
スペインでは近年、マドリードやバルセロナなどの都市部を中心に家賃が急上昇しています。観光客向けの短期貸し(民泊)が増えたことや、住宅の供給が足りないことなどが原因とされ、若者を中心に「住む場所を確保できない」との不満が強まっています。各地で住宅問題を訴える大規模なデモも起きており、住宅は国政の最重要課題のひとつになっています。
スペインの賃貸借法では、一定の最低契約期間が終わると更新や家賃の見直しの時期が来ます。そのため、契約更新のたびに家賃の大幅な値上げに直面する借り手が多いと指摘されています。今回の協議は、この更新時の扱いをどうするかが焦点です。
議会承認のハードルも
スペインの緊急政令は、公布後に下院で承認を得る必要があります。少数与党のサンチェス政権は、法案を通すのに他党の協力が欠かせません。報道によると、政権に閣外から協力してきたカタルーニャの独立派政党「Junts(ジュンツ)」は、この政令案に距離を置き、「不法占拠を容認するものだ」と批判しています。
左からは「規制が弱い」と、右寄りの立場からは「借り手を守りすぎる」と、正反対の批判を受けている形です。どちらにどこまで歩み寄るかによって、政令の中身と成否が左右されそうです。
今後の見通し
住宅問題は有権者の関心が高いテーマで、各党にとっては政治的に大きな得点にも失点にもなり得ます。連立与党どうしの溝が埋まるのか、また議会で過半数を確保できるのかは、現時点では不透明です。政権の求心力を測る試金石としても注目されます。
※本記事はスペインの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:heraldo.es




