
この記事のポイント
- 2007年に北イタリアで起きたガルラスコ事件で、恋人だったスタージ氏の有罪が2015年に確定している。
- 有罪の根拠となったペダルのDNA鑑定は、陰性の結果も含めて2007年当時に弁護側へ伝えられていたと報じられた。
- 検察はRISの分析の進め方を疑問視し、スタージ氏側は全容の解明を求めており、科学捜査を巡る論争が続いている。
約20年前の殺人事件が再び注目
イタリア北部ロンバルディア州パヴィア県の小さな町ガルラスコで2007年8月、26歳の女性キアラ・ポッジさんが自宅で殺害されました。「ガルラスコ事件」と呼ばれるこの事件は、イタリアで最もよく知られた未解決・論争事件の一つです。当時交際していたアルベルト・スタージ氏は一審・二審で無罪となりましたが、差し戻し審で有罪となり、2015年に最高裁で懲役16年が確定しました。
ところが近年、検察が別の人物を対象に捜査をやり直したことで、事件は再び大きく報じられています。焦点の一つが、当時の科学捜査の信頼性です。
ペダルのDNAは「弁護側も知っていた」
イタリアの日刊紙イル・ファット・クオティディアーノは、スタージ氏の自転車のペダルから検出されたDNAについて、陰性だった結果も含めて、鑑定結果は2007年の時点で弁護側に知らされていたと報じました。ペダルのDNAは有罪判決で重要な証拠の一つとされたもので、「弁護側に知らされていない鑑定結果があったのではないか」という最近の疑問に反論する形の報道です。
この鑑定を担ったのは、カラビニエリ(軍警察にあたる治安組織)の科学捜査部門「RIS」です。現地メディアによると、現在の検察は、RISが分析を繰り返したことやDNAが検出されなかった結果について、当時「さらに調べなかったのは説明がつかない」との見方を示しているといいます。一方でスタージ氏側は、RISの証拠について「すべてを明らかにすべきだ」と訴えています。
論争の背景
イタリアでは、注目を集める刑事事件をテレビの討論番組が連日取り上げることが珍しくありません。今回も、当時のRISの責任者に対して元部下が「テレビに出ることが目的だった」と批判したと報じられるなど、報道合戦の様相を帯びています。
今回の報道は、「当時の弁護側は鑑定結果をすべて知ったうえで争っていた」ことを示すものといえます。ただ、それで鑑定の中身そのものの妥当性が確かめられたわけではありません。確定判決の見直しにつながるのか、それとも当時の手続きの適正さが改めて確認されるだけで終わるのかは、現時点ではわかりません。今後の検察の判断や裁判所の対応が注目されます。
※本記事はイタリアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Il Fatto Quotidiano




