
この記事のポイント
- スペインで住宅政令をめぐる調整が長引き、閣議にあたる閣僚評議会の開始が約1時間遅れた。
- 投資ファンドが住宅を市場価値の70%未満で買い取ることを禁止する内容が盛り込まれたと報じられている。
- 立ち退きを止めた場合に個人の家主へ補償するしくみや、自治州が借り手の滞納分を肩代わりするしくみも含まれる。
スペインで、住宅対策の政令をめぐる政府内の調整が最後まで続き、閣議にあたる「閣僚評議会(Consejo de Ministros)」の開始が約1時間遅れました。現地メディアのelDiario.esなどが伝えています。スペインでは家賃と住宅価格の高騰が大きな社会問題になっており、今回の政令はその対策の一つとして注目されています。
閣議が遅れた背景
閣僚評議会は首相と閣僚でつくる会議で、通常は毎週火曜日に開かれ、政令(法律と同じ効力を持つ「勅令法」を含む)を承認する場です。今回は、住宅政令の中身について開始直前まで話し合いが続いたとされています。どの点で意見が分かれたのかは、元の報道からははっきりしません。ただ、スペインの住宅政策は、家主の権利をどこまで守るか、借り手をどこまで保護するかをめぐって政党間で立場が分かれやすい分野です。
報じられている主な中身
現地紙エル・パイス(EL PAÍS)によると、政令にはいわゆる「ハゲタカファンド(fondos buitre)」が住宅を市場価値の70%未満で買い取ることを禁止する内容が盛り込まれています。ハゲタカファンドとは、経営が苦しくなった資産や不良債権を安く買い集め、転売などで利益を狙う投資ファンドを批判的に呼ぶ言葉です。スペインでは2008年の金融危機後、差し押さえ住宅や不良債権が大量に海外ファンドへ売られ、住民の追い出しや家賃の値上げにつながったと批判されてきました。
また、ガリシア地方の新聞ラ・ボス・デ・ガリシア(La Voz de Galicia)は、弱い立場にある借り手の立ち退き(desahucio)を行政が止めた場合、家主が個人であれば行政が補償しなければならなくなると報じています。さらに別の報道では、立ち退きの場面で借り手が抱える滞納分を、自治州(スペインの州にあたる広域自治体で、住宅政策に大きな権限を持つ)が肩代わりするしくみも含まれるとされています。
何が狙いなのか
これまでの立ち退き停止措置には、「負担を個人の家主に押しつけている」という不満が家主側から出ていました。補償のしくみを明記したのは、借り手の保護と小規模な家主の不満の両方に応えようとしたものとみられます。一方で、財政負担を負う自治州との関係や、投資資金の動きへの影響がどうなるかは、今後の議論を見ないと分かりません。
政令は議会で追認されなければ効力が続かないため、各党がどう判断するかが次の焦点になりそうです。細かい運用ルールについては、今後の続報を待つ必要があります。
※本記事はスペインの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:elDiario.es




