
この記事のポイント
- フィリピンのサラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾裁判で、弁護士が「威圧的」と批判された発言について上院議員らに謝罪した。
- 問題の発言は、資金洗浄対策機関AMLCの記録の開示をめぐるもので、上院議員らは裁判への脅しだと強く非難した。
- 2028年大統領選の有力候補とされる副大統領の進退がかかっており、資金記録を証拠として扱うかどうかが今後の焦点になる。
フィリピンで審理が続くサラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾裁判で、副大統領の弁護士が法廷での発言について、裁判官を務める上院議員らに謝罪しました。発言が「威圧的」「脅しに聞こえる」と強く批判されたためです。現地の主要メディアであるInquirer.net、フィリップスター、ABS-CBNなどが相次いで報じています。
何が問題になったのか
報道によると、問題となったのは、AMLC(マネーロンダリング対策評議会)が持つ記録の開示をめぐる弁護側の発言です。AMLCはフィリピンの資金洗浄防止法(AMLA)に基づいて設けられた機関で、銀行取引などの金融情報を扱います。弾劾裁判では、副大統領に関係する資金の流れを示す記録が証拠として扱われるかどうかが争点の一つとみられています。
弁護側は記録の開示に関わる人に対し、法的責任を問う可能性を示したと伝えられています。これに対し上院議員らは「裁判への圧力であり、脅しにあたる」と非難しました。発言の正確な文言や、誰に向けたものだったのかについては、見出しや要約だけでは分からない点が残ります。
弁護士はその後、法廷で威圧する意図はなかったとして謝罪しました。また、報道関係者の団体も、裁判を取材する記者に向けた「遠回しな脅し」があったとして懸念を示したと報じられています。
フィリピンの弾劾制度と上院議員の役割
フィリピンの弾劾制度は、アメリカの制度を手本にしています。下院が弾劾を訴追し、上院が「弾劾裁判所」として審理します。このとき上院議員は「セネター・ジャッジ(裁判官としての上院議員)」と呼ばれ、有罪か無罪かを決める立場になります。有罪には上院の3分の2以上の賛成が必要で、有罪になれば罷免され、公職に就く資格も失います。
サラ・ドゥテルテ氏は、強権的な麻薬対策で知られるロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の長女です。2022年の選挙ではマルコス大統領と組んで副大統領に当選しましたが、その後両家は対立しました。今回の弾劾は、公的資金の使い方をめぐる疑惑などが発端とされ、政治的な対立とも深く結びついています。
今後の焦点
今回の謝罪で法廷の緊張はひとまず和らいだ形です。ただ、AMLCの記録をどこまで証拠として認めるかは、審理の行方に大きく影響する可能性があります。2028年の次の大統領選挙で有力候補とされる副大統領の進退がかかっているため、法廷でのやりとりの一つ一つが世論の注目を集めています。弁護側と上院議員の対立が今後も続くかどうかも注目されます。
※本記事はフィリピンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Inquirer.net




