
この記事のポイント
- スペインで11月11日に賃金・住宅・物価を掲げたゼネストが予定され、CCOOなどの労働組合が参加を呼びかけている。
- テレビ局アンテナ3の取材に、女性労働者ラウラさんが「組合に助けられたことはない」とスト不参加を明言した。
- 労働協約が非組合員にも適用される制度や賃金カットの負担もあり、組合と一般の労働者の距離が浮き彫りになっている。
「組合は私を助けてくれたことがない」
スペインで11月11日(現地では「11-N」と呼ばれる)に予定されているゼネラルストライキ(全国規模の一斉ストライキ)を前に、ある女性労働者の発言が話題になっている。スペインの民放テレビ局アンテナ3が伝えたもので、ラウラさんと名乗る女性は今回のストに参加しないと明言した。理由として「労働組合はいくらもらっているのか。私は一度も助けてもらったことがない」と語り、組合への強い不信感を示した。
賃金・住宅・物価を掲げるゼネスト
今回のゼネストは、スペイン最大級の労働組合である労働者委員会(CCOO)などが呼びかけている。スローガンは「賃金・住宅・物価」。スペインでは都市部を中心に家賃の高騰が深刻な社会問題になっており、物価上昇に賃金の伸びが追いつかないという不満も根強い。組合側はこうした生活苦を前面に出し、幅広い層の参加を呼びかけている。バスク地方の組合も合流を表明するなど、全国的な動きとなりつつある。
組合と現場の労働者のすれ違い
一方で、ラウラさんのような声は、組合と一般の労働者との間にある距離感を映し出している。スペインでは労働協約が組合員かどうかに関係なく広く適用される仕組みがあり、組合に加入しなくても交渉の成果を受け取れる。このため組合の存在を身近に感じにくく、組織率も欧州の中では高くないとされる。また、組合が公的な補助金を受け取っていることへの批判は、保守層を中心にたびたび持ち上がってきた論点でもある。「いくらもらっているのか」という問いかけには、こうした背景があると考えられる。
加えて、ストに参加すればその日の賃金は支払われないのが一般的だ。生活に余裕のない人ほど、ストの趣旨に共感していても参加をためらうという矛盾もある。ラウラさんの発言が具体的にどのような経験に基づくものかは報道からは明らかではないが、同じように感じている人が一定数いることは想像に難くない。
ストの成否を左右する「参加しない人々」
ゼネストの影響力は、どれだけ多くの労働者が実際に仕事を休むかにかかっている。住宅や物価への不満は広く共有されている一方で、それを組合主導のストという形で表すことには距離を置く人もいる。11月11日に向けて、組合が「組合嫌い」の層をどこまで取り込めるかが、ストの規模を占う一つの焦点となりそうだ。
※本記事はスペインの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Antena 3




