
この記事のポイント
- オランダ東部オーファーアッセルトの農場で警備員が射殺され、麻薬抗争に絡む襲撃として裁判が進んでいる。
- 被害者は銃声直後に上司へ「逃げろ、今すぐ」と電話し、その後のメッセージは届かなかったと報じられた。
- 監視カメラ映像と靴が通称「チェチェン人」の被告を結びつけ、別の被告の指揮役の有無も争点になっている。
「逃げろ、今すぐ」上司への最後の電話
オランダ東部ヘルダーラント州、ナイメーヘン近郊の小さな村オーファーアッセルト(Overasselt)で、農場の警備に当たっていた警備員が射殺された事件の裁判が進んでいる。現地報道によると、被害者の警備員ベリー氏は、銃声を聞いた直後に上司へ電話し「逃げろ、今すぐ」と伝えたという。上司側がその後に送った「そこから離れろ! 逃げたか?」というメッセージは、二度と届くことがなかったと報じられている。
麻薬抗争の中で起きた襲撃
この事件は、オランダで深刻化する麻薬犯罪組織どうしの対立、いわゆる「ドラッグ・ウォー」の一環として起きた襲撃と位置づけられている。現地報道では、襲撃されたのは「ヤン・G」と報じられる人物の農場で、警備員はその警備のために配置されていたとされる。なおオランダの報道では、被疑者や関係者の姓をイニシャルで表記する慣習がある。報道各社は、襲撃への人集めとみられる「よう兵士、人手が必要だ」というメッセージなどをもとに、襲撃当夜の経緯の再構成を試みている。
監視カメラと靴が「チェチェン人」を結びつける
地元紙デ・ヘルダーランダーは、捜査の「突破口」として、監視カメラの映像と靴が「デ・チェチェーン(チェチェン人)」の通称で呼ばれる被告を警備員殺害に結びつけたと報じた。また、別の被告ロベルト・M氏が襲撃の「リーダー」だったのかという点について、共犯とされる被告らが供述しているという。各被告の役割をめぐる主張は食い違っているとみられ、裁判所の判断はまだ出ていない。有罪が確定していない段階である点には注意が必要だ。
背景:農村部に広がる組織犯罪の影
オランダは欧州における合成麻薬の製造やコカイン密輸の主要経路の一つとされ、近年は組織犯罪の暴力が一般市民を巻き込む事件が相次いでいる。南部や東部の農村地帯では、人目につきにくい農場や倉庫が麻薬の製造・保管に使われるケースが指摘されてきた。今回の事件は、民間の警備員が組織犯罪の抗争の矢面に立たされた点で、オランダ国内でも重く受け止められている。日本ではほとんど報じられないが、治安の良い国というイメージの裏側で起きている現実を映す事例といえる。
※本記事はオランダの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:NU




