
この記事のポイント
- ロシアIT最大手ヤンデックスのカルーガ州データセンターが無人機攻撃で損傷し、複数モジュールが機能停止した。
- 同社は停止したサービスを競合他社のサーバーへ移し、通信事業者と協力して顧客サービスの再配置を急いでいる。
- データセンターが攻撃対象となった例は珍しく、ロシアIT業界に設備分散や防護強化のコスト増をもたらす懸念がある。
モスクワ南西のデータセンターが被害
ロシアの通信社インタファクスなど複数の現地メディアは、ロシアのIT最大手ヤンデックスがカルーガ州に置くデータセンターの一部インフラが、無人機(ドローン)攻撃によって損傷したと報じました。カルーガはモスクワの南西およそ180キロに位置する州都で、自動車工場などが集まる工業地域として知られています。
独立系メディアのメドゥーザによると、攻撃はウクライナ側の無人機によるものとされ、データセンターを構成する複数のモジュールが完全に機能停止に追い込まれたということです。被害の正確な規模や復旧の見通しについては、報道によって伝えられる内容に幅があり、現時点では断定できない部分が残ります。
競合他社のサーバーへサービスを移す異例の対応
地方メディアの66.RUは、ヤンデックスが停止したサービスを競合他社のサーバーへ移す作業を進めていると伝えています。また同社は、通信事業者やクラウド事業者と協議し、顧客向けサービスの配置を急ぐことで合意したとも報じられました。自社インフラを誇る大手企業が競合の設備を借りるのは異例で、被害の深刻さをうかがわせます。
ヤンデックスは検索・地図・配車・ネット通販・動画配信など、ロシア国内で日常的に使われるサービスを幅広く手がける企業です。日本で言えば、検索大手と配車アプリ、ネット通販を一社で担っているような存在で、データセンターの停止は利用者の生活にも直結します。
経済メディアが指摘するリスク
証券会社系の経済メディアであるフィナムは、データセンターへの攻撃がヤンデックスに「実際に何をもたらすのか」を分析する記事を掲載しました。サービス停止による直接の損失に加え、冗長化のための追加投資や、顧客の信頼低下といった中長期的な影響が論点になっていると見られます。ただし、具体的な損失額などは現時点では公表されておらず、各メディアの推測の域を出ません。
背景にある戦況の変化
ウクライナとの戦争が長期化する中、ロシア国内では製油所や空港など、軍事施設以外のインフラが無人機攻撃の対象になる事例が増えています。今回のようにデータセンターが被害を受けた例は比較的珍しく、通信・IT基盤が標的になりうるという懸念をロシアのIT業界に広げる可能性があります。一般論として、こうした攻撃は企業に設備の分散配置や防護強化を迫るため、ロシアのクラウド市場全体のコスト構造にも影響しうると考えられます。
※本記事はロシアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Интерфакс




