
この記事のポイント
- 北京の中国共産党歴史展覧館が、長征をテーマにした2つの展覧会を始めた。長征終結から90年の節目に合わせた企画だ。
- 長征は1934〜36年に紅軍が約1万2500キロを移動した出来事で、中国共産党の歴史では重要な転換点とされる。
- テレビ番組や論評など、中国のメディアでも記念の企画が相次ぐ。団結を呼びかける狙いもあるとみられる。
北京の党史展覧館で「長征」の特別展
中国の首都・北京にある「中国共産党歴史展覧館」が、「長征」をテーマにした2つの展覧会を始めたと、中国の複数のメディアが伝えました。中国共産党の歴史をたどる国の施設が、長征に絞った展示を2つ同時に打ち出したかたちです。
この展覧館は、2021年の中国共産党創立100周年に合わせて開館しました。党の成り立ちから現在までを、写真・文書・遺品などで紹介しています。国内の団体見学や学校教育で使われることが多く、中国で「愛国主義教育」と呼ばれる取り組みの拠点のひとつです。
そもそも「長征」とは
長征は、1934年から1936年にかけて中国共産党の紅軍(当時の共産党の軍隊)が行った大規模な移動のことです。国民党政権の軍に包囲された紅軍は、中国南部の拠点を捨て、山や川、湿地帯を越えて西部・北部へ移りました。移動距離は、中国では「二万五千里」(約1万2500キロ)と言われています。
途中の戦いや厳しい自然のために、多くの兵士が命を落としました。一方で、この移動中に毛沢東が党内で主導権を固めたとされ、中国共産党の歴史では重要な転換点として扱われています。1936年10月に紅軍の主力が甘粛省の会寧などで合流し、長征は終わりました。2026年は、それからちょうど90年にあたります。
メディアでも記念の企画が続く
同じ時期、中国の新聞・テレビ・ネットメディアでも長征関連の企画が相次いでいます。報道によると、外国人2人が長征のルートをたどるドキュメンタリー番組が始まったほか、長征の「勝因」を今に生かすよう呼びかける論評や、長征のルート沿いに整えられた遊歩道(「長征緑道」)を紹介する記事も出ています。
中国では、長征は「困難に負けない精神」の象徴としてよく語られます。経済の伸びが鈍り、米国との対立も続くいま、こうした歴史の物語を社会の団結や士気を高めることに結びつけようとする狙いがあるとみられます。ただし、今回の展示の具体的な中身や会期は、今のところ詳しく報じられていません。
日本の読者にとっての意味
長征は日本ではあまり知られていません。しかし、中国の指導部が自分たちの正統性を語るときによく使う、中心的な物語のひとつです。節目の年に国を挙げて記念の企画が行われることからは、中国共産党が歴史をどう語り、国民にどう伝えようとしているかを読み取ることができます。現代の中国の政治や社会を理解するうえでも、注目しておきたい動きです。
※本記事は中国の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:中国网




