🌐 日本語

世界の声 — 各国のローカルニュースを、日本語で

購読するメール通知に登録

スペイン国王のセウタ・メリリャ訪問に波紋 「罠」論も

フェリペ6世夫妻が北アフリカの飛び地セウタとメリリャを訪問しました。領有権を主張するモロッコの反発が懸念され、国内では「国王が政治の罠にはまった」との論評も出ています。

スペイン国王のセウタ・メリリャ訪問に波紋 「罠」論も
🔥🔥 ローカル度・高

この記事のポイント

  • スペイン国王夫妻が、モロッコが領有権を主張する北アフリカの飛び地セウタとメリリャを訪問した。
  • 政府は、モロッコが抗議として大使を引き揚げる可能性を否定しておらず、2007年に前国王が訪れたときと同じような反発が心配されている。
  • コラムニストのソト・イバルス氏は、国王が罠にはまったと述べ、対立が起きればサンチェス首相が国王に責任を向けると見ている。
シェアX (Twitter)FacebookLINEはてブ

国王夫妻の「飛び地」訪問が論争に

スペインのフェリペ6世国王とレティシア王妃が、北アフリカにあるスペイン領のセウタとメリリャを訪れ、国内で議論になっています。両都市はモロッコと陸続きの「飛び地」で、スペイン本土とは海で隔てられた自治都市です。モロッコは長年、両都市の領有権を主張しています。そのため、国王の訪問は単なる地方視察ではなく、外交上の意味を持つ出来事と受け止められています。

スペイン紙エル・ムンドは、モロッコが訪問への抗議として駐スペイン大使を引き揚げる可能性を、政府も否定していないと伝えました。前国王フアン・カルロス1世が2007年に両都市を訪れた際には、モロッコが大使を一時召還しました。今回も同じような反応が出るのではないかと見られています。

コラムニストの「罠」論

こうした中、保守系紙ABCに載った作家・コラムニストのフアン・ソト・イバルス氏の発言が注目されています。同氏は、国王が「罠にはまったという嫌な感覚がある」と述べました。そのうえで、モロッコが訪問に敵対的な態度で応じれば、サンチェス首相がその責任を国王に向けるだろうという見方を示しました。

これは一人の論者の意見で、政府が実際にそうした対応をとるかどうかは分かりません。ただ、この発言の背景には、スペインの政治事情があります。立憲君主制のスペインでは、国王の公務は政府の承認のもとで行われるのが原則です。本来なら外交上の結果の責任は政府が負います。それでも、訪問が対モロッコ関係の悪化につながった場合に、政治の対立に王室が巻き込まれるのではないかという懸念が、ソト・イバルス氏の発言に表れているといえます。

揺れる対モロッコ関係

サンチェス政権は2022年、西サハラ問題でモロッコの自治案を支持する方針に転じ、関係を改善させました。モロッコは移民対策やテロ対策、経済の面でスペインにとって重要な隣国です。一方で、この方針転換には国内で批判も根強く、セウタとメリリャの主権をめぐる問題は今もたびたび話題になります。

ABCには国王の訪問を「王冠は確かさを与える」と評価する論説も載っており、両都市の住民に「スペインの一部だ」と示す意味を重く見る声もあります。一方で中道左派紙エル・パイスは、訪問がどのような影響をもたらすかを分析しています。モロッコがどう反応するか、そしてそれがスペイン国内の政治にどう跳ね返るかが当面の焦点です。

※本記事はスペインの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。

📰 情報ソース:ABC

シェアX (Twitter)FacebookLINEはてブ