
この記事のポイント
- イタリア政府が2027年予算案を閣議了承し、年末までの成立に向けて議会審議に進む。
- 新生児に100ユーロを入れた年金基金をつくり、生まれた時から老後の資産づくりを促す。
- 所得税33%の適用を年収5万5000ユーロまで広げるが、選挙向けの予算だとの批判もある。
政府が2027年予算案を了承
イタリア政府は、2027年の予算案を閣議で了承しました。イタリアでは翌年の予算と税制をまとめた法案を毎年秋に政府が作り、議会が年末までに可決します。現地ではこの法案を「マノーヴラ(Manovra)」と呼び、家計に直結するため毎年大きく報じられます。現地メディアによると、今回の柱は「新生児向けの年金基金」と「中間所得層の所得税の軽減」です。一方、光熱費の負担を抑えるための別の政令は、了承が先送りになりました。
生まれた子どもに100ユーロの年金基金
新しい制度として目を引くのが、生まれた子どもに100ユーロ(約1万数千円)を入れた年金基金をつくる案です。少子高齢化が深刻なイタリアでは、若い世代が将来十分な年金を受け取れるかが長く心配されてきました。生まれた時から老後の資産づくりを始めてもらう狙いとみられます。ただ、家族が後から積み立てを足せるのか、いつ引き出せるのかなど、細かい仕組みはまだ分かっていません。
所得税33%の対象を年収5万5000ユーロまで
イタリアの個人所得税「IRPEF(イルペフ)」は、所得が増えるほど税率が上がる仕組みです。報道によると、今回の予算案では中間の税率33%がかかる所得の上限を5万5000ユーロ(約900万円台)まで引き上げます。上限は前年の改正で5万ユーロとされていたため、それより上の高い税率がかかる人が減り、会社員を中心とする中間層の手取りが増える見込みです。
選挙を意識した予算との見方も
予算を担当するジャンカルロ・ジョルジェッティ経済財務相は、財政赤字を減らすよう求めるEUのルールを重く見て、慎重な運営を続けてきました。一方で一部の現地紙は、今回の予算の規模を約260億ユーロとし、国政選挙を控えた「選挙向けの予算」だと批判しています。若い働き手への優遇策についても、効果を疑う声が出ています。イタリアでは次の総選挙が2027年までに行われる予定で、家計に分かりやすい減税策が並んだ背景にはそうした政治日程もあるとみられます。
今後の焦点
予算案はこの後、EUの欧州委員会による点検と、イタリア議会での審議に進みます。議会での修正で中身が変わることも珍しくありません。また先送りになった光熱費対策の政令がいつ、どんな内容で出るかも、物価高に苦しむ家庭にとって大きな関心事です。
※本記事はイタリアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Corriere della Sera




