
この記事のポイント
- 米前大使サラザール氏が、麻薬王エル・マヨの米国移送への米政府関与を明確に否定した。
- シェインバウム大統領はメキシコの主権問題として米側に経緯説明を繰り返し要求している。
- 移送の真相は未解明で、米墨双方の主張は平行線をたどり外交的緊張が続いている。
「機体も、操縦士も、作戦も、我々のものではない」
メキシコの巨大麻薬組織シナロア・カルテルの創設者、イスマエル・“エル・マヨ”・ゼンバダ容疑者が米国当局の手に渡った経緯をめぐり、米墨(アメリカとメキシコ)間で神経戦が続いています。米国のケン・サラザール前駐メキシコ大使が、メキシコのシェインバウム大統領による追及に対し、「あれは我々の飛行機でも、我々の操縦士でも、我々の作戦でもなかった」と述べ、米政府の直接関与を強く否定したと現地報道が伝えました。
「エル・マヨ」移送とは何か
ゼンバダ容疑者は、長年カルテルの実質的トップとされながら表舞台に姿を見せてこなかった人物です。2024年、小型機で米国側に到着し、そのまま身柄を拘束されました。本人側は「だまされて機内に乗せられ、意思に反して米国へ連れて行かれた」と主張しており、この“移送”に米国がどこまで関わったのかが、両国の外交問題に発展しています。
シェインバウム大統領(2024年就任、メキシコ初の女性大統領)は、メキシコの主権に関わる問題として、米側に経緯の説明を繰り返し求めてきました。サラザール氏の今回の発言は、こうした追及に応える形で出たものとみられます。
「真実は真実だ」応酬の構図
報道によると、サラザール氏は「真実は真実だ」とも述べ、自らの立場を譲らない姿勢を示したとされます。一方、メキシコ政府や検察は同氏への批判を強めていると伝えられ、双方の主張は平行線をたどっています。どちらの言い分が事実に近いのかは、現時点で外部から断定できる段階にはありません。
背景には、麻薬・治安対策をめぐる米墨の根深い温度差があります。米国は自国内へ流入する薬物の取り締まりを重視する一方、メキシコ側は自国の主権や捜査の主導権を侵されることに強い警戒感を持っています。今回の応酬は、その緊張関係を象徴する一件だといえるでしょう。
※本記事はメキシコの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:EL PAÍS




