
この記事のポイント
- アパルトヘイト時代の犯罪が未訴追の理由を検証する南アフリカの公式調査が進行中
- 元警察長官セレ氏は2010年W杯準備に資源が集中し過去清算が後回しになったと証言
- 被害者遺族が国家の不作為を問う中、他の元閣僚も証言予定で責任の所在が焦点
南アフリカで、アパルトヘイト(人種隔離)時代の犯罪がなぜ長年きちんと捜査・訴追されてこなかったのかを検証する公式調査が進んでいる。その場で、元警察長官のベキ・セレ氏が「2010年のFIFAワールドカップ(W杯)の開催準備が、過去の清算に向けた捜査を事実上覆い隠してしまった」と証言し、注目を集めている。
「真実和解委員会」とは何か
真実和解委員会(TRC)は、1994年の民主化後にアパルトヘイト下の人権侵害を明らかにするために設けられた委員会だ。加害者が真実を語れば恩赦を検討する一方、恩赦が認められなかった案件は本来、通常の司法手続きで捜査・訴追されるはずだった。ところが、その多くが長年放置されてきたと指摘され、遺族らが国家の不作為を問う声を強めている。今回の調査は、その「なぜ」を解明する狙いがある。
セレ氏の主張
報道によると、セレ氏はW杯開催に伴う警備・準備に警察の資源と注意が集中し、結果としてTRC由来の案件が後回しになったという趣旨の説明をしたとされる。同氏はまた、こうした案件の捜査を主導する責務は、重大犯罪を扱う専門捜査機関「ホークス」の側にあったとの見方も示したと伝えられる。自らの判断を「私は自分の歴史を背負ってきた」と擁護したとも報じられている。
問われる国家の責任
W杯は南アフリカにとってアフリカ大陸初開催の国家的祝祭だったが、その陰で過去の人権侵害の清算が遅れたのだとすれば、被害者や遺族にとっては重い問題だ。今回の調査には他の元閣僚らも証言する見通しで、当時の判断や責任の所在がどこまで明らかになるかが焦点となる。なお、個々の発言の詳細な文言や責任の最終的な評価は、調査の進行を待つ必要がある。
※本記事は南アフリカの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:IOL




