
この記事のポイント
- 宝石店主ロッジェーロがミラノ近郊ボッラーテ刑務所に収監され、初日は涙も見せたと報じられた。
- 本人はマッタレッラ大統領に触れ「他者には恩赦を与えた」と不満を述べ良心を問うた。
- 司法省は恩赦の手続きは始まっていないとし、救済が具体化しているわけではない。
宝石店主ロッジェーロがミラノの刑務所へ
イタリア北部ピエモンテ州で宝石店を営んでいたマリオ・ロッジェーロ氏が、ミラノ近郊のボッラーテ刑務所に収監された。現地報道によると、収監初日は精神的に大きく動揺し、涙を見せる場面もあったという。ボッラーテ刑務所は、社会復帰に向けた比較的開かれた処遇で知られる施設だ。
ロッジェーロ氏は数年前、自身の宝石店を襲った強盗に対して発砲し、強盗側の複数人が死亡する事態となった。イタリアでは「正当防衛(legittima difesa)」の範囲をどこまで認めるかが長く議論されており、この事件も世論を二分した。裁判では、防衛の限度を超えたとして有罪判決が確定し、今回の収監に至った。
「マッタレッラ大統領は恩赦を与えたのに」
収監に際してロッジェーロ氏は、セルジョ・マッタレッラ大統領(イタリアの国家元首)に触れ、「大統領は他の人物には恩赦を与えたのに」と不満を述べ、「良心に手を当ててほしい」と訴えたと伝えられている。恩赦(grazia)は、大統領が個別の受刑者の刑を軽減・免除できるイタリアの制度で、政治的にも注目を集めやすい。
同氏が引き合いに出した人物には、過去に有罪となった元地方議員や、密航に関与したとされる人物が含まれるとされる。ただし、こうした比較が制度上妥当かどうかは立場によって評価が分かれる点であり、あくまで本人の主張として受け止める必要がある。
司法省「恩赦の手続きは始まっていない」
一方でイタリア司法省は、ロッジェーロ氏に関する恩赦の手続き(iter)は開始されていないとの見解を示したと報じられている。恩赦は本人や関係者の請願を起点に審査が進むのが一般的で、現時点で救済が具体的に動いているわけではないとみられる。
自衛のための発砲がどこまで許されるのか——。ロッジェーロ氏の一件は、被害者感情と法の線引きをめぐるイタリア社会の難しさを、改めて浮き彫りにしている。
※本記事はイタリアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:ANSA




