
この記事のポイント
- イタリアの調査報道記者ラヌッチ氏への爆発事件で、ある人物が首謀者だと告白した。
- 動機は「警護を強化させるため彼のためにやった」という不可解なものだとされる。
- 検察は動機の裏付けを欠くとして告白の信ぴょう性を疑い、真相は未確定のままだ。
イタリアで、調査報道で知られるジャーナリスト、シグフリド・ラヌッチ氏を狙った爆発事件をめぐり、奇妙な展開が報じられている。ある人物が捜査当局に対し「事件を仕組んだ首謀者は自分だ」と告白したというのだ。しかも、その動機として語られたのが「彼のためを思ってやった」という、にわかには信じがたい説明だった。イタリアの複数の主要メディア(ANSA通信、コリエレ紙、レプブリカ紙など)が一斉に伝えている。
「身辺警護を強化させるためだった」という説明
告白したとされるのは、過去にもさまざまな事件で名前が取り沙汰されてきたイタリアのジャーナリスト、ヴァルテル・ラビトラ氏。報道によれば、同氏は予備審査担当判事(Gip=イタリアの捜査段階で身柄拘束などを判断する裁判官)に対し、「自分が首謀者だ。ラヌッチ氏の警護レベルを引き上げさせるために爆発事件を仕組んだ」と述べたとされる。つまり「危険を演出することで、より手厚い身辺警護(スコルタ)が付くようにしてやった」という理屈だ。
ラヌッチ氏とは、そして事件の背景
ラヌッチ氏は、イタリア公共放送RAIの調査報道番組『Report(レポート)』の司会者として知られる著名ジャーナリスト。政治や犯罪組織に切り込む報道で知られ、これまでも脅迫を受けてきたとされる。今回の爆発事件は、こうした報道の自由をめぐる問題として、イタリア国内で大きな関心を集めてきた。
検察は告白の信ぴょう性を疑う
ただし、この告白をそのまま受け止める空気にはなっていない。レプブリカ紙などによると、検察当局は「動機に裏付けがない」「捜査を混乱させようとする試み(depistaggio=証拠の偽装や誘導による捜査かく乱)が見られる」として、告白の真偽そのものに疑問を抱いているという。当のラヌッチ氏も強い衝撃を受けており、語られた動機を信じていないと伝えられている。
現時点では、誰が本当に事件を仕組んだのか、告白がどこまで事実に基づくのかは確定していない。捜査の進展を待つ必要があり、報じられている動機はあくまで本人の主張の段階にとどまる点に注意したい。ジャーナリストが標的となる事件は、報道の自由という観点からも各国で重く受け止められており、イタリアでの捜査の行方が注目される。
※本記事はイタリアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:ANSA




