
この記事のポイント
- ブエノスアイレス州で刑事責任年齢を14歳に下げる新制度の適用が60日間停止された。
- 停止は暫定措置で、制度の是非は今後の司法判断に委ねられている。
- ミレイ政権の治安強化路線の象徴的政策で、人権面からの懸念も根強い。
アルゼンチンで、少年犯罪の扱いをめぐる大きな制度変更に司法が「待った」をかけました。同国最大の人口を抱えるブエノスアイレス州で、刑事責任を問える年齢を14歳に引き下げる新しい少年刑事制度(Régimen Penal Juvenil)の適用を、裁判所が60日間停止する判断を示したと現地各紙が報じています。
何が停止されたのか
争点になっているのは、これまで刑事責任を問えなかった年齢層の少年を、一定の重い罪について刑事手続きの対象に含める新制度です。現地報道によれば、担当の裁判官が新制度の適用を60日間差し止める決定を出しました。停止は制度そのものを最終的に無効としたものではなく、審理を進めるあいだ運用を一時的に止める暫定的な措置と位置づけられます。停止期間が過ぎた後にどうなるかは、その間の司法判断や上級審の対応次第で、現時点で確定しているわけではありません。
ブエノスアイレス州という舞台
日本の読者には地名がややこしいのですが、アルゼンチンには首都であるブエノスアイレス市(自治市)と、その周囲に広がるブエノスアイレス州という別々の行政単位があります。今回の舞台は後者の州で、人口はアルゼンチン全体のおよそ4割を占めるとされる最大の州です。アルゼンチンは連邦制をとっており、刑法は国レベルで定められる一方、その運用や手続きに関わる部分は州ごとの体制に委ねられる領域があります。国が定めた枠組みを州がどう実施するのか、その接合部分が今回の司法判断の焦点になっているとみられます。
ミレイ政権の治安政策という文脈
この制度変更は、ハビエル・ミレイ大統領の政権が進める治安強化路線の一環として現地で受け止められています。ミレイ氏は2023年末に就任した右派・自由主義志向の大統領で、経済の規制緩和と並んで、犯罪への厳罰的な対応を掲げてきました。少年の刑事責任年齢引き下げは、その象徴的な政策のひとつです。一方で、若年層を刑事手続きに乗せることへの人権上の懸念や、子どもの権利条約との整合性を問う声も根強く、賛否が真っ二つに割れるテーマであり続けてきました。
日本から見た論点
日本でも少年法の適用年齢をめぐる議論が続いてきただけに、この問題は他人事ではありません。厳罰化が抑止につながるのか、それとも立ち直りの機会を狭めるだけなのか。答えの出にくい問いに、司法がいったん時間をかけて向き合う姿勢を示したのが今回の決定だといえます。アルゼンチンの少年犯罪の実態や新制度の詳細な条文については、現地でも報道によって説明の幅があり、続報を待つ必要があります。
※本記事はアルゼンチンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Clarin.com




