
この記事のポイント
- 米同時多発テロから25年の節目に、カナダの公共放送CBCが生存者と救助関係者の証言を伝えた。
- カナダ出身の犠牲者や空域閉鎖による旅客機の緊急着陸など、隣国としての当事者性がある。
- 当時を知る世代の高齢化が進み、PTSDや健康被害の支援と証言の継承が課題となっている。
25年の節目に語られる「あの日」
2001年9月11日に米国で起きた同時多発テロ(いわゆる9.11)から25年の節目に合わせ、カナダの公共放送CBC(カナダ放送協会。日本のNHKに近い立ち位置の公共メディア)が、当時マンハッタンの現場やその周辺にいた生存者、そして救助・復旧にあたった人々の証言をまとめて伝えている。
見出しに引かれた「ここでは何も起きない。あなたは安全だ」という一言は、事件の後に交わされた言葉として紹介されているものだ。誰が誰に向けて語ったのかは元記事の本文に当たらないと特定できないが、遠く離れた土地にいる人が「自分のいる場所は大丈夫だ」と自分や家族に言い聞かせる、あの日以降に世界中で繰り返された感覚を象徴する表現として置かれていると読める。
なぜカナダで語り継がれるのか
9.11は米国で起きた事件だが、カナダにとっては完全な「外国のできごと」ではない。トロントやモントリオールからニューヨークへ通勤・出張する人は多く、金融やメディアの現場で働くカナダ出身者も少なくない。現地報道によれば、犠牲者のなかにはカナダ国籍・カナダ出身の人々も含まれていた(人数については報道により集計基準が異なるため、ここでは具体的な数値は示さない)。
また当日、北米の空域が閉鎖された結果、大西洋上を飛行中だった多数の旅客機がカナダ各地の空港へ緊急着陸した。空港周辺の町が突然大量の乗客を受け入れることになった経験は、カナダ社会にとって9.11の記憶そのものと結びついている。
「語る側」の高齢化と健康問題
25年という時間は、当時を直接知る人々が確実に年を重ねたことを意味する。一般論として、大規模災害やテロの現場に立ち会った人には、長期にわたるPTSD(心的外傷後ストレス障害)や、粉じん・有害物質の吸引による健康被害が生じうることが知られている。米国では救助隊員の健康補償が長く政治課題となってきた。カナダでも救急隊員や消防士のメンタルヘルス支援は近年議論が進む分野であり、9.11の証言はその文脈でも受け止められている。
日本の読者にとっての視点
節目の年に当事者の口から語られる記憶は、事実関係の記録であると同時に、次の世代への引き継ぎでもある。震災や事故の「語り部」の活動に取り組んできた日本の経験とも重なる部分が多く、時間の経過とともに証言をどう残すのかという課題は共通している。
※本記事はカナダの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:CBC




