
この記事のポイント
- 韓国で閣僚に指名された現職国会議員が、批判の末に就任を断念し辞退した。
- 本人は「やましくない」としつつ、与党から決断を促されたと説明している。
- 指名撤回は避けられたが、政権の事前の人事検証の甘さに批判が向かっている。
韓国で、閣僚候補に指名されていた現職の国会議員ヨン・ヘイン(용혜인)氏が、大臣就任を断念した。指名後しばらくは批判にさらされながらも辞退しない姿勢を保っていたが、最終的に「白旗」を掲げた形だ。現地報道によれば、方針が一転した背景には、大統領の支持率が下がるなかで与党「共に民主党」の側から「決断してほしい」と求められた事情があるという。
「やましいところはない」――それでも身を引いた
ヨン氏は辞退の理由について、自分には後ろ暗いところはないという趣旨の説明をしたうえで、民主党から決断を促されたと述べたと伝えられている。つまり本人が非を認めて退いたというより、与党の政治的判断を受け入れる形で身を引いた、という構図だ。大臣のポストではなく国会議員としての立場を選んだ、とも報じられている。
指名に対しては、所管することになる分野での専門性が乏しいのではないかという疑問や、党内・政界に強固な政治的基盤を持たないことへの指摘が、韓国メディアから出ていた。ただし、具体的に何が決定打になったのかは報道によって力点が異なり、現時点で一つの理由に断定することはできない。
「性平等家族部」という敏感なポスト
今回の指名先とされるのは、日本でいえば男女共同参画や青少年・家族政策を所管する官庁にあたる省庁だ。かつて「女性家族部」と呼ばれ、廃止論を含めて長く政争の的になってきた経緯があり、現政権下で「性平等家族部」へと名称が改められた。ジェンダー政策そのものが韓国では世論を二分するテーマであり、この省のトップ人事は常に注目度が高い。
破られた「現役不敗」の経験則
韓国では閣僚候補に対して国会が人事聴聞会を開く。ただし国会の同意がなくても大統領が任命を強行できる職が多く、国会側の実質的な拒否権は限定的だ。そのなかで「現職の国会議員が候補になれば最後は通る」という経験則があり、韓国では「現役不敗」と呼ばれてきた。同僚議員を正面から攻撃しにくい国会の空気が背景にあるとされる。今回はその通例が再び破られた形で、現地メディアはこの点自体をニュースとして扱っている。
焦点は「人事検証」へ
大統領府(李在明政権は執務室を青瓦台に戻している)にとっては、「指名撤回」という体裁を取らずに済んだ分、政治的な傷は浅く抑えられたとの見方がある。一方で批判の焦点は、そもそもなぜこの人選に至ったのかという事前の人事検証、いわゆる「身体検査」の機能に移りつつある。支持率が下がる局面では、閣僚人事の一件一件が政権の統治能力への評価に直結しやすい。他の候補者をめぐる与野党の攻防も続いており、政権が人事プロセスをどう立て直すかが当面の焦点になりそうだ。
※本記事は韓国の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:한겨레




