
この記事のポイント
- ベトナム南部・南中部の大雨を受け、軍参謀本部が洪水や土砂崩れへの事前対応を指示した。
- 南部・南中部の12省市が警戒態勢に入り、一部報道では降水量400ミリの見通しも示された。
- 低地のホーチミン市は冠水しやすく、大雨は24日ごろまで続くとの予報も伝えられている。
軍の参謀本部が「先手の対応」を指示
ベトナムの南部(ナムボ)および南中部(ナムチュンボ)で大雨が続いているのを受け、ベトナム人民軍の参謀本部(Bộ Tổng tham mưu)が、大雨・浸水・鉄砲水・土砂崩れへの「主体的な(先手を打つ)対応」を指示したと現地紙が伝えた。ベトナムでは自然災害への対応において軍が中心的な実働部隊となる仕組みがあり、住民の避難誘導、道路の啓開、孤立集落への物資輸送などを担う。日本でいえば自衛隊の災害派遣に近いが、ベトナムでは平時から防災・救難が軍の主要任務の一つと位置づけられている点が異なる。
12の省・市が警戒態勢に
報道によれば、南部・南中部の12の省・市が今回の大雨に備えた対応に入った。一部の報道では、この期間の降水量が400ミリに達しうるとの見通しが示されている。400ミリという雨量は、日本の梅雨末期や台風接近時の「線状降水帯」による豪雨に匹敵する規模で、数日間にわたって降り続けば都市部の排水能力を大きく超える水準だ。
「南中部(ナムチュンボ)」はベトナム中部の南寄り、ニャチャンやファンティエットなどリゾート地を含む沿岸地域を指す地域区分で、背後に山地が迫るため、短時間の強い雨が鉄砲水や斜面崩壊に直結しやすい。一方「南部(ナムボ)」はホーチミン市とメコンデルタを含む低平な地域で、標高が低く河川と運河が網の目状に走るため、雨が降ると水がはけずに広範囲が浸水しやすい。
ホーチミン市の浸水リスク
ベトナム最大の経済都市ホーチミン市(旧サイゴン)は、市域の多くが海抜数メートル以下の低地にあり、以前から雨期の冠水が慢性的な課題となってきた。大雨が満潮と重なると、幹線道路がひざ下まで水に浸かり、バイク中心の市民の足が麻痺する光景がたびたび見られる。報道では、南部の大雨が24日ごろまで続く見通しも示されており、通勤・物流への影響が長引く可能性がある。一方で、雨の強いピークは徐々に弱まるとの予報も伝えられており、今後の推移は流動的だ。
雨期の終盤という季節要因
ベトナム南部はおおむね5月ごろから11月ごろまでが雨期にあたり、9月は雨量が多くなりやすい時期にあたる。加えて、南中部から中部にかけてはこれから台風・熱帯低気圧の影響を受けやすい季節に入る。今回の指示は特定の災害が発生したことへの事後対応ではなく、被害が出る前に部隊や資機材を配置しておくという性格のもので、近年ベトナムが繰り返してきた甚大な水害の教訓が背景にあるとみられる。
現地を旅行・出張で訪れる日本人にとっては、道路冠水による移動の遅れ、国内線の遅延、山間部の道路寸断などが実際的なリスクとなる。最新の気象情報と地元当局の指示を確認し、無理な移動を避けることが基本となる。
※本記事はベトナムの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Tuổi Trẻ




