
この記事のポイント
- ミレイ大統領がニューヨークの投資家向け会合で、再選なら2028年は史上最高の経済の年になると語った。
- アルゼンチン大統領の任期は4年・連続1回まで再選可で、次の大統領選は2027年に予定されている。
- デフォルトと政策転換を繰り返してきた同国では、路線の持続性そのものが投資家向けの売り込みになる。
ニューヨークで投資家に語った「2028年」
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が、米ニューヨークで開かれた投資家向けの会合で、自身の政権が再選された場合「2028年はアルゼンチン史上最高の経済の年になる」と述べた、と現地の主要紙が相次いで報じた。聞き手は国内の有権者ではなく、アルゼンチン国債や株式、資源関連事業に資金を投じる海外の機関投資家である。つまりこの発言は、国内向けの政治演説というより、海外マネーに向けた「売り込み」の性格が強い。
ミレイ氏は2023年12月に就任した、自由主義(リバタリアン)を掲げる経済学者出身の政治家だ。大幅な財政支出の削減と規制緩和を看板政策に据えてきた。就任前のアルゼンチンは年率で3桁に達する高インフレと通貨ペソの下落に苦しんでおり、政権は「痛みを伴う調整の先に成長がある」という説明を繰り返してきた。今回の「2028年」発言も、その延長線上にある将来像の提示と受け取れる。
なぜ「再選されれば」という条件がつくのか
アルゼンチンでは大統領の任期は4年で、憲法上は連続して1回までの再選が認められている。ミレイ氏の現在の任期は2027年12月までとされ、次の大統領選は2027年に行われる予定だ。仮に再選されれば、2028年は新しい任期の初年度にあたる。逆に政権が交代すれば、現在の緊縮路線がそのまま続く保証はない。だからこそ「2028年」という時期の指定に、「再選されれば」という条件が不可分についてくる。
投資家が見ているのは「政策の持続性」
新興国への投資では、政権交代によって経済政策が反転するリスクが常に価格に織り込まれる。アルゼンチンは過去に何度も債務不履行(デフォルト)と政策の急転換を経験してきた国であり、海外投資家の警戒感は根強い。一般論として、こうした市場に対しては「路線が続くこと」そのものが最大のセールスポイントになる。今回の発言は、そうした投資家心理に向けて、選挙を挟んだ先の連続性を約束する形になっている。
日本から見るときの留意点
注意しておきたいのは、政治指導者が投資家向けの場で示す将来見通しは、政策目標や期待の表明であって、確定した予測ではないという点だ。現地報道もこの発言を「約束」として伝えており、達成の可否は選挙結果と今後の外部環境に左右される。日本では南米の政治経済が報じられる量は限られるが、アルゼンチンは牛肉や大豆、トウモロコシといった農産物に加え、リチウムや非在来型のエネルギー資源の供給国としても世界市場とつながっている。同国の経済運営が安定するかどうかは、資源価格や新興国投資の流れを通じて、日本の企業や市場にも間接的に影響しうるテーマである。
※本記事はアルゼンチンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:La Nación




