
この記事のポイント
- 香港の張宇人議員が、看護師の就職難を訴える声は労働組合の工作ではないかと疑問を呈した。
- 当事者の看護師は組合員ではないと説明し、「労働者を人として扱っていない」と強く反発した。
- 域外からの人材受け入れ政策と、地元で育った看護師の採用とのずれが改めて議論になっている。
看護師の「就職難」をめぐる発言が炎上
香港で、看護師の就職をめぐる議論が思わぬ方向に広がっています。親ビジネス派の政党・自由党に所属するベテラン立法会議員(香港の議会にあたる立法会の議員)、張宇人(トミー・チョン)氏が、看護師の就職難を訴える声について「労働組合の関係者が一般人を装って電話しているのではないか」という趣旨の疑念を示しました。これに対し、実際に声を上げた看護師本人がメディアに登場し、「非常に侮辱された」と強く反論しています。
議員は医療人材の「輸入」を強く支持
現地報道によると、張氏は医療従事者を域外から受け入れる政策を強く支持する立場です。そのうえで、看護師が職を見つけられないと訴える声の一部は、組合が送り込んだ「打手」(中国語で、特定の勢力のために動く工作員や回し者といった意味合いの言葉)によるものではないかと疑問を投げかけました。
これに対して当事者の看護師は、自分は労働組合に属しておらず、一人の働き手として実情を伝えただけだと説明しました。そのうえで「権力を持つ人々は、労働者を人間として扱っていない」と批判し、議員の発言に強い不快感を示しています。
背景にある「人手不足」と「就職難」のねじれ
香港では近年、公立病院を運営する医院管理局(ホスピタル・オーソリティー)を中心に、医療現場の人手不足がたびたび指摘されてきました。政府はこれを受け、域外で養成された看護師などを受け入れる仕組みを広げてきました。一方で、地元で看護師資格を取った人から「思うように採用されない」という声が出ており、人手不足と就職難が同時に語られる、ねじれた状況になっています。
看護師の団体は、医院管理局の各「聯網」(地域ごとの病院グループ)での実際の採用状況と、政府が中央で掲げる人材政策との間にずれがあると指摘しています。これに対し政府は、香港の医療人材の需給を継続的に点検しており、看護師の養成や人材育成の計画を進めていると強調しました。
今後の焦点
今回の騒動は、域外からの人材受け入れを進める政策と、地元で育った人材の雇用をどう両立させるかという問題を改めて浮かび上がらせました。医療分野に限らず、香港では労働力の確保をめぐって、経済界と労働者側の考え方の違いがたびたび表面化しています。議員の発言が今後の政策論議にどう影響するかは現時点では分かりませんが、採用の実態をめぐる情報開示を求める声が強まる可能性もありそうです。
※本記事は香港の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:星島頭條




