
この記事のポイント
- コロンビアのデ・ラ・エスプリエジャ政権が、抗議デモを規制する大統領令の準備を進めていると報じられた。
- デモ中に人の拘束や器物損壊があった場合に、警察の実力行使を認める内容が柱になるとみられる。
- 2021年の大規模デモでは警察の過剰な対応が批判されており、権利の制限を懸念する声も予想される。
デモ規制の新ルールづくりが進む
南米コロンビアで、アベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ大統領の政権が、抗議デモ(現地では「プロテスタ」と呼ばれる)を規制する大統領令の準備を進めていると、複数の現地メディアが報じました。報道によると、デモの最中に人が拘束されたり、他人の財産が壊されたりした場合に、警察が実力を行使できるようにする内容が柱になるとみられます。
デ・ラ・エスプリエジャ氏は弁護士出身の右派政治家で、治安の強化を前面に掲げて大統領選を戦いました。左派のペトロ前政権からの政権交代を経て、治安政策の転換が具体的な形になり始めたといえます。
背景にある2021年の大規模デモ
コロンビアでは、デモと警察の関係が長く大きな政治課題になってきました。2021年には税制改革への反発をきっかけに「全国スト(パロ・ナシオナル)」と呼ばれる大規模な抗議が全国に広がりました。幹線道路の封鎖が続いて物流が滞った一方、警察の過剰な実力行使で多くの死傷者が出たとして、国内外の人権団体から厳しく批判されました。
その後に発足したペトロ前政権は、警察の機動隊を再編し、名称も「対話」を強調したものに改めるなど、デモへの対応を対話重視へ切り替えました。今回の大統領令づくりは、その流れを見直す動きと受け止められています。
「秩序の回復」か「権利の制限」か
コロンビアの憲法は平和的な集会とデモの権利を保障しており、制限するには厳格な要件が求められます。このため、大統領令でどこまで警察の権限を広げられるかは、憲法上の議論になる可能性があります。
現地紙エル・エスペクタドールは、警察をより積極的に動かすこの規制が、左派勢力が街頭での抗議行動を強めようとしているタイミングで出てきたと指摘しています。政権側は道路封鎖や暴力から市民を守るためと説明するとみられますが、野党や人権団体からは、正当な抗議まで萎縮させるとの懸念が出ることが予想されます。
今後の焦点
大統領令の最終的な条文や施行時期は、現時点では明らかになっていません。「実力行使」をどんな場面で、どんな手順で認めるのか、その線引きが最大の焦点になるでしょう。発令された場合は、裁判所に違憲性を問う訴えが起こされる可能性もあり、新政権と左派勢力の対立を占う試金石になりそうです。
※本記事はコロンビアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:La Silla Vacía




