
この記事のポイント
- 米テネシー州で女性死刑囚クリスタ・パイク氏の死刑執行が失敗し、弁護団は本人が意識を取り戻し会話していると説明。
- 弁護団は執行に関する証拠の保全を要求。失敗した原因や経緯について、詳しい公式説明はまだ確認されていない。
- 州の元刑務所トップが過去にアリゾナ州でも不手際のあった執行を監督していたと報じられ、執行体制が問われている。
執行の途中で中断、死刑囚が生存
米国南部のテネシー州で、死刑囚クリスタ・パイク氏の死刑執行が失敗に終わり、大きな波紋を広げています。英BBCなど複数の米英メディアによると、パイク氏の弁護団は、本人が意識を取り戻して会話ができる状態にあると明らかにしました。地元テレビ局の報道では、パイク氏は執行の試みの後、生命維持装置につながれていたとされます。死刑判決を受けた人が、執行の失敗によって集中治療を受ける形になったことは、米国内でも異例の事態として注目されています。
パイク氏とはどんな人物か
パイク氏は1990年代に同州ノックスビルで起きた殺人事件で有罪となり、死刑を言い渡されました。事件当時は10代後半で、長年にわたり同州で唯一の女性死刑囚として知られてきました。米国でも女性への死刑執行は少なく、今回の執行は当初から全米の関心を集めていました。
弁護団は証拠の保全を要求
米CNNによると、弁護団は執行の試みに関する証拠を保全するよう求めています。使われた薬物や器具、執行の手順を記録した資料などが対象になるとみられます。何が起きたのかを後から検証し、今後の法的手続きに使う狙いがあると考えられます。執行がどの段階で、なぜ失敗したのかについては、現時点で詳しい公式説明は確認されていません。
問われる州の執行体制
米公共ラジオNPRは、テネシー州の刑務所行政の元トップが、以前に西部アリゾナ州でも執行の不手際が起きた時期に執行を監督していたと報じました。テネシー州では過去にも薬物注射による執行の手順をめぐる問題が明らかになり、執行が一時止まったことがあります。今回の件で、州の執行体制や担当者の責任があらためて問われる可能性があります。
背景:米国の死刑と「失敗した執行」
米国では死刑を存続させるかどうかが州ごとに決まっており、南部を中心に執行を続ける州があります。主な方法は薬物注射ですが、静脈に針が入らない、薬物が想定どおりに効かないといった失敗が各地で報告され、「残虐で異常な刑罰」を禁じる合衆国憲法修正第8条に反するのではないかという議論が続いています。一般に、執行に失敗した死刑囚に再び執行を試みてよいかは法律上の大きな争点になり、パイク氏のケースでも、今後の扱いをめぐって裁判で争われることが予想されます。
※本記事は米国の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:BBC




