
この記事のポイント
- アルゼンチン政府が首都圏の上下水道会社AySAの株式90%を売却し、30年間の事業権を民間に渡すことが決まった。
- 落札したのはオランダ系ファンドを軸に、エデノールの所有者やブラジル企業などが加わる企業連合と報じられている。
- 赤字の国営企業を売るミレイ政権の改革の一環で、今後は水道料金やサービスの質がどうなるかが焦点となる。
首都圏の水道会社が民間の手へ
アルゼンチンで、首都ブエノスアイレスとその周辺地域の上下水道を担う国営企業「AySA(アイサ、Agua y Saneamientos Argentinos)」の民営化が大きく前進しました。現地の複数のメディアによると、政府が実施した株式売却の入札には2つの提案が寄せられ、最大3億4000万ドル(約500億円規模)を提示した企業グループが勝ち、30年間の事業権(コンセッション)を得ることになりました。売却の対象は、国が持つ株式の90%とされています。
落札したのはどんなグループか
現地の有力紙クラリンは、落札したのはオランダのファンドを中心とする企業連合だと伝えています。この連合には、首都圏の電力会社エデノール(Edenor)の所有者の一人、ブラジルの企業、さらに別の公共サービス関連の請負業者が加わっているとされます。一方、ニュースサイトのインフォバエは「地元の企業グループ」が落札したと報じており、海外のファンドを器にしながら、実際にはアルゼンチン国内の事業家が中心にいる形とみられます。ただし、出資の比率や各社の役割の詳しい内訳は、現時点の報道でははっきりしていません。
ミレイ政権の民営化路線
AySAは、1990年代に民営化された後、2006年に当時の政権が契約を打ち切り、再び国営に戻った経緯があります。その後は料金を低く抑える政策のもと、国からの多額の補助金に頼る経営が続き、財政の重荷になっていると指摘されてきました。
2023年末に就任したハビエル・ミレイ大統領は「小さな政府」を掲げ、赤字の国営企業の売却を経済改革の柱にしています。2024年に成立した包括的な改革法(通称「バセス法」)でも、AySAは民営化できる企業の一つに挙げられていました。今回の落札は、この路線が具体的な形になった代表的な例といえます。
今後の焦点
水道は暮らしに欠かせない公共サービスのため、民営化後の料金の動きや、設備投資・サービスの質がどう保たれるかが今後の焦点になります。民間の資金で老朽化した設備の更新が進むと期待する声がある一方、料金の値上げや、利益が優先されてサービスが後回しになることを心配する声も出ることが予想されます。契約の細かい条件や、政府がどう監督していくのかは、今後の発表を待つ必要があります。
※本記事はアルゼンチンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Clarin.com




