
この記事のポイント
- ペトロ大統領の側近ボリバル氏が、大統領の再登板への考えを「私が答えられる」と述べ注目を集めている。
- コロンビアでは2015年の憲法改正で大統領の再選が全面禁止され、再登板には憲法改正が必要となる。
- 側近の制憲議会構想や「再選の鍵は拾い直せる」発言が重なり、与野党で警戒と憶測が広がっている。
側近が口にした「その質問には私が答えられる」
南米コロンビアで、左派のグスタボ・ペトロ大統領が将来ふたたび大統領の座に戻ることを望んでいるのか、という話題が政界をにぎわせています。きっかけは、大統領の側近として知られるグスタボ・ボリバル氏の発言です。コロンビアの有力誌セマナによると、ボリバル氏はペトロ氏の再登板をめぐる問いに対し「その質問には私が答えられる」と述べ、大統領の胸の内を知る立場から自らの見方を示しました。
ボリバル氏は元上院議員で、テレビドラマの脚本家としても知られる人物です。ペトロ政権では貧困層支援を担う社会繁栄庁の長官を務め、その後は与党連合「歴史的協定」の大統領候補の座を目指すなど、ペトロ氏に最も近い政治家の一人とされています。ただし今回伝えられたのは、あくまで側近の見立てであり、ペトロ氏本人が再登板への意欲を明言したわけではない点には注意が必要です。
再選を禁じるコロンビアの憲法
この話題が注目を集める背景には、コロンビア特有の制度があります。コロンビアでは2004年の憲法改正で大統領の連続再選が一度認められましたが、2015年の改正で再選そのものが全面的に禁止されました。現在の規定では、一度でも大統領を務めた人物は、連続か否かを問わず再び大統領に選ばれることができません。つまり、ペトロ氏が本気で再登板を目指すなら、憲法そのものを変える必要があるのです。
ペトロ氏の任期は憲法上2026年8月7日までと定められています。だからこそ「任期後に戻ってくる道はあるのか」という問いが、与野党双方にとって敏感なテーマになっています。
制憲議会をめぐる思惑
再登板論と切り離せないのが、ペトロ氏周辺で語られてきた「制憲議会」の構想です。制憲議会とは、新しい憲法を起草するために特別に選ばれる会議体で、現行憲法も1991年の制憲議会で生まれました。元大統領府官房長のアルフレド・サアデ氏は、ラジオ局カラコルの報道によれば、大統領に「議会を閉じて制憲議会を招集すべきだ」と提案したと伝えられており、野党からは三権分立を揺るがす発言だと強い批判が出ています。
一方、2015年の再選禁止改正を内務相として主導したフアン・フェルナンド・クリスト氏は「再選の鍵はいつでも引き揚げられる」と述べたと報じられています。当時、改正を進めた側は「再選の鍵は海に投げ捨てた」と表現しており、その本人が「鍵は拾い直せる」と語ったことは、政界で憲法改正の可能性が現実味を帯びて語られ始めた象徴として受け止められています。
今後の見通し
現時点でペトロ氏が制憲議会や再登板に向けた具体的な手続きを始めたという確認はなく、側近の発言が先行している段階です。憲法改正には議会での複数回の審議や国民投票など高いハードルがあり、実現可能性は未知数です。ただ、任期の節目をめぐってこの種の議論が繰り返されること自体が、ペトロ政権の求心力と、コロンビア政治の緊張の高さを映し出していると言えそうです。
※本記事はコロンビアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Revista Semana




