
この記事のポイント
- バトラー保健相が民間医療に関する法案を修正しないまま連邦議会に提出し、政府が方針を変えない姿勢を示した。
- 野党の保守連合は法案を「冷酷」と批判し、緑の党も支持を表明していないため、上院を通るかどうかは見通せない。
- 公的保険メディケアと民間保険が並ぶ制度のもとで、保険料や家計の負担への影響が議論の焦点になるとみられる。
保健相が法案を「修正なし」で提出
オーストラリアの連邦議会で、マーク・バトラー保健相が民間医療に関する法案を提出しました。英紙ガーディアン(オーストラリア版)の政治速報によると、法案は内容を修正しないまま出されました。最大野党の保守連合(自由党と国民党の連合)は法案を「冷酷(cruel)」と強く批判しています。緑の党も、現時点では支持を表明していません。
見出しと短い要約からは、法案の細かい中身や、どこが争点なのかまでは確認できません。ただ、政府が反対意見を受けて修正するのではなく、元の案のまま出したことは、政府が方針を変えない姿勢を示したものと受け止められています。
オーストラリアの医療制度と民間保険
オーストラリアには「メディケア」という公的な医療保険があり、国民は公立病院で原則として無料、または少ない負担で治療を受けられます。一方で、公立病院では手術の待ち時間が長くなりやすく、医師や病院を選びたい人などは民間の医療保険にも入るのが一般的です。
政府は民間保険への加入を後押ししてきました。保険料の一部を国が負担する「リベート」や、一定以上の所得があるのに民間保険に入っていない人に追加の税を課す仕組みなどです。そのため、民間医療をめぐる制度を変えると、保険料や家計の負担、公立病院の混み具合に影響が出る可能性があり、政治的に意見が割れやすいテーマです。
カギを握るのは上院
オーストラリアの議会は下院と上院の二院制です。アルバニージー首相の労働党政権は下院で多数を持っていますが、上院では単独で過半数を持っていません。法案を成立させるには、保守連合か緑の党などの協力が必要になるのが一般的です。
今回は保守連合が強く反対し、緑の党も態度を決めていません。このままでは上院を通すのが難しくなる可能性があります。今後は、政府が緑の党と交渉して修正や条件を受け入れるのか、それとも原案のまま押し通そうとするのかが注目されます。どこまで歩み寄るかは現時点では分からず、審議の行方を見守る必要があります。
日本の読者にとっての意味
公的保険と民間保険をどう組み合わせるかは、高齢化が進む多くの国に共通する課題です。オーストラリアのように民間保険が大きな役割を持つ国でこの議論がどう決着するかは、医療の財源や負担の分け方を考えるうえで、日本にとっても参考になるでしょう。
※本記事はオーストラリアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:The Guardian




