
この記事のポイント
- 広東省のヨットが香港に乗り入れる「粤艇南下」が始まり、珠海・南沙・深圳から最初の5隻が到着した。
- 香港の議員は、船主に離島へ上陸してお金を使ってもらうための「島めぐり航路図」をつくるよう提案した。
- 錨泊区域には水道・電気がなく給油船を呼んで補給する形で、受け入れ設備の整備が課題になっている。
中国本土のヨットが初めて香港へ
香港で、中国本土・広東省のプライベートヨットが香港の海域に入れるようにする新しい取り組み「粤艇南下(えつていなんか)」が始まりました。「粤」は広東省の略称で、「広東のヨットが南下して香港へ来る」という意味です。香港メディアによると、最初の便となる5隻は珠海、南沙(広州市)、深圳から出発し、10月16日の昼ごろ香港の海域に入りました。最初の1隻は、珠海市の万山港の出入境検査場から出発したと伝えられています。
香港と広東省の間では、香港のマイカーが本土へ乗り入れる「港車北上」が先に始まり、人の行き来が増えています。今回のヨットの取り組みも、香港・マカオと広東省の9都市を一体の経済圏として発展させる「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」構想の一部と位置づけられます。
議員の提案は「島めぐりの航路図」
今回とくに話題になっているのは、香港の議員による提案です。香港には大小250以上の島があり、離島には漁村の街並みや海鮮料理店、ハイキングコースなどがあります。議員は、ヨットで来た人が島から島へ立ち寄れるよう、モデルコースをまとめた「跳島遊(島めぐり)路線図」をつくるべきだと述べました。船の上で過ごすだけで帰ってしまうのではなく、船主や同乗者に上陸してもらい、飲食や買い物でお金を使ってもらうのがねらいです。
ヨットを持つ人はお金に余裕のある層が多いと考えられます。滞在中の消費が香港の観光業、とくに離島の小さな商店や飲食店の売り上げにつながるかどうかが注目されています。
受け入れ側の設備には課題も
一方で、受け入れの準備が十分かという声もあります。報道によると、来訪ヨット向けの錨泊区域(いかりを下ろして停泊する場所)には水道や電気の供給がありません。業界関係者は、燃料が必要なときは給油船を電話で呼んで補給する形になると説明しています。日本のマリーナのように、桟橋で水や電気、燃料をすぐ受けられる環境とはまだ違うようです。
上陸して消費してもらうには、ヨットを安全に止められる場所や、島への上陸手段、案内情報などをあわせて整える必要があります。島めぐり航路図の提案は、こうした「来てもらった後」の受け入れ体制をどう整えるかという議論の一つといえます。
今後の見どころ
香港では近年、本土からの観光客の消費の仕方が変わり、買い物中心から体験型の観光へと関心が移っているといわれます。ヨットの乗り入れが、海と島を生かした新しい観光の柱になるのか、それとも一部の富裕層向けの小さな取り組みにとどまるのか。利用状況と、香港政府や業界がどう受け入れ環境を整えていくかが、今後の注目点になりそうです。
※本記事は香港の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Yahoo




