
この記事のポイント
- 中国工農紅軍の長征勝利90周年を記念する大会が北京で開かれ、習近平総書記が重要演説を行った。
- 長征は1934〜36年に紅軍が包囲を逃れて西北部へ移った大行軍で、中国共産党の原点の一つとされる。
- 「長征精神」は今も結束を呼びかける言葉として使われ、記念切手の発行など国を挙げて記念している。
北京で「長征勝利90周年」の記念大会
中国の首都・北京で、「中国工農紅軍長征勝利90周年」を記念する大会が開かれました。人民網や央視網(中国中央テレビのニュースサイト)など中国の主要メディアが大きく報じています。報道によると、中国共産党トップの習近平総書記が重要演説を行い、各メディアは「党・軍・全国の各民族人民を励まし、前進を促すもの」と伝えています。
あわせて、記念切手と関連の郵便商品も発行されました。式典だけでなく、国全体で節目を記念する形になっています。
「長征」とは何か
長征は、中国共産党が率いた軍隊「中国工農紅軍」(いまの人民解放軍の前身)による大規模な移動作戦です。1934年、紅軍は国民党政府軍の包囲を受けて中国南部の江西省の根拠地を離れ、およそ2年をかけて中国西北部へ移りました。中央紅軍が歩いた道のりは「二万五千里(約1万2500km)」と呼ばれ、山脈や湿地帯を越える過酷な行軍で、多くの兵士が命を落としたとされています。
1936年10月、いくつかの紅軍の主力部隊が甘粛省などで合流し、長征は終わりました。中国ではこれを「長征の勝利」と呼んでいます。今年がその90周年にあたります。途中の1935年に開かれた「遵義会議」は、毛沢東が党の指導の中心に立つきっかけになったとされ、中国共産党の歴史で特に大事な場面として語られています。
なぜ今も重視されるのか
中国では、長征は困難に負けない強い意志や、党への忠誠を表す「長征精神」として、愛国教育や党の宣伝で繰り返し取り上げられてきました。主要メディアが「長征の歴史は遠い過去ではなく、長征精神は私たちの身近にある」といった論調で伝えていることからも、歴史の記念にとどまらず、今の社会に向けたメッセージとして扱われていることがうかがえます。
習近平指導部は、党の歴史を学ぶことを大事にしてきました。10年前の2016年に開かれた80周年の記念大会でも、習氏が演説しています。今回の演説の詳しい内容は今回の報道からは分かりませんが、景気の減速や対外関係の緊張など、中国が抱える課題を「新たな長征」にたとえて結束を呼びかけるのは、これまでの演説でもよく使われてきた言い方です。
日本の読者が押さえておきたい点
長征は、中国共産党にとって政権の正しさを語る「建国前の物語」の中心にあります。こうした記念行事は、指導部がどんな価値観を前面に出そうとしているかを読み取る材料になります。今後、演説の全文や解説記事が中国のメディアで次々に出るとみられ、そこで強調される言葉に注目すると、中国の政治の方向性をうかがう手がかりになるでしょう。
※本記事は中国の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:人民网




