
この記事のポイント
- 北朝鮮の金与正氏が拡声器を数日以内に境界線へ待機させると表明し、「威嚇ではなく警告だ」と強調した。
- 軍事境界線の北側では三重の電気柵の設置や発破作業も報じられ、偶発的な衝突への懸念が強まっている。
- 韓国側の拡声器を撤去した李在明政権が北朝鮮の動きにどう対応するかに注目が集まっている。
金与正氏「拡声器を数日内に待機させる」
韓国メディアによると、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹で、対南(対韓国)政策で発言を重ねてきた金与正(キム・ヨジョン)氏が談話を出し、境界線付近に拡声器を数日以内に待機させる考えを示しました。金氏はこれを「威嚇ではなく警告だ」と表現しています。KBSなど韓国の主要メディアが一斉に伝えました。
報道では、金氏が「国境線」に新たな対応手段を待機させるとも述べたとされます。北朝鮮は近年、韓国を「敵対国家」と位置づけ、南北の境界を「国境」と呼ぶようになっています。今回の談話もこの路線に沿ったものとみられます。
拡声器が南北関係で持つ意味
南北の軍事境界線(MDL、朝鮮戦争の休戦ラインにあたる境界)沿いの拡声器放送は、相手側の兵士や住民に向けた心理戦の手段として長く使われてきました。2024年には北朝鮮の「汚物風船」に対抗し、韓国側が拡声器放送を再開しました。その後、2025年に発足した李在明(イ・ジェミョン)政権は緊張緩和を掲げ、放送を止めて設備を撤去しています。
今回、北朝鮮側が拡声器を持ち出したことで、韓国が自ら下ろした心理戦の手段を北朝鮮側が使うという構図になりました。北朝鮮がどんな内容を流すつもりなのか、実際に放送を始めるのかは、現時点の報道からは分かっていません。
境界付近の工事も相次いで確認
韓国メディアは、境界付近での北朝鮮軍の動きも伝えています。軍事境界線のすぐ北側で、1メートル間隔の「三重の電気柵」を設けているとの報道があります。また、北朝鮮軍が10回あまり発破作業をする様子がカメラに映ったとも報じられ、境界地域の緊張が高まっています。
ハンギョレ新聞は分析記事で、偶発的な衝突のリスクが大きくなっていると指摘しました。境界付近で作業する兵士が境界線を越え、韓国軍が警告射撃をするといった事態は過去にも起きています。拡声器の配備や工事が重なれば、意図しない衝突につながりかねないとの見方があります。
韓国政府の対応に注目
保守系の朝鮮日報は、北朝鮮の態度を「盗人たけだけしい」と批判しました。そのうえで、大統領府(青瓦台)が何も発言していないと問題にしています。対話を重視する李政権が、北朝鮮の動きにどう対応するのかが焦点です。
一般論として、北朝鮮は談話で予告しても、実際の行動に移すかどうかを相手の出方を見て決めることが多いとされます。今後、実際に拡声器が配備されるのか、韓国政府や軍がどう反応するのかが注目されます。
※本記事は韓国の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:KBS 뉴스




