
この記事のポイント
- フィリピンで中国大使館のSNS投稿をめぐり、外務省と大使館の立場が対立し、応酬が表面化している。
- 沿岸警備隊のタリエラ報道官と中国大使館も、中国大使の発言をめぐってSNS上で非難し合っている。
- 現地紙は南シナ海問題を背景に、SNSではなく外交ルートでの対話による緊張管理を双方に求めている。
SNS上で続く「言葉の応酬」
フィリピンで、マニラにある中国大使館のSNS投稿をめぐり、フィリピン政府側との対立が表面化しています。現地紙の報道によると、フィリピン外務省(DFA)は中国大使館の投稿内容に問題があるとの立場を示し、両者の主張は食い違ったままです。こうした状況を受け、現地の大手紙フィリピン・スターなどは「投稿ではなく対話を」と呼びかけ、政府と中国大使館の双方に冷静な対応を求めています。
沿岸警備隊報道官と大使館が非難の応酬
今回の対立では、フィリピン沿岸警備隊(PCG)で南シナ海問題を担当する報道官、ジェイ・タリエラ氏と中国大使館の間でも、中国大使の発言をめぐって非難の応酬があったと報じられています。タリエラ氏は、南シナ海で中国船がフィリピン船に放水したり進路を妨害したりする場面を撮影した映像や情報を積極的に発信してきたことで知られ、中国側から繰り返し批判されてきた人物です。
報道によれば、大使館側もSNSで反論を発信しており、公式な外交ルートを通さずに公の場で言い合う形が続いています。具体的な投稿の文言や、どの発言が発端になったのかについては、現時点の報道の見出しや要約からは詳しく確認できません。
背景にある南シナ海問題
フィリピンと中国は、南シナ海(フィリピンでは自国の排他的経済水域の部分を「西フィリピン海」と呼びます)の領有権や漁業・資源の権利をめぐって長く対立しています。2016年には国際的な仲裁裁判所が中国の主張を退ける判断を示しましたが、中国はこれを受け入れておらず、現場の海域では船同士のにらみ合いが続いています。
近年のフィリピン政府は、海上で起きた出来事を映像付きで積極的に公表し、国内外の世論に訴える「透明性」重視の方針をとってきました。これに対し中国側も、大使館のSNSなどを通じて独自の見解を発信しています。国会議員の中からは、中国が世論に影響を与えようとする「心理戦」に警戒すべきだとの声も上がっていると報じられています。
「対話」の呼びかけが意味するもの
現地メディアの論調には、主権に関わる問題で譲歩すべきではないという立場と、SNS上の応酬が感情的な対立をあおり、外交による解決をかえって難しくしかねないという懸念の両方が見られます。外交官同士の非公開の協議の場を活用すべきだという主張は、緊張を管理するための現実的な提案ともいえます。
一般論として、SNSは政府にとって素早く直接世論に届く手段である一方、発言が切り取られて拡散しやすく、相手国との関係を悪化させる要因にもなります。南シナ海をめぐる緊張が続くなか、フィリピン政府と中国大使館がどのような形で意思疎通を図るのかが注目されます。
※本記事はフィリピンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Philstar.com




