
この記事のポイント
- メキシコの選挙管理機関INEのタデイ委員長の息子が、INEの契約業者とパリへ旅行したと報じられた。
- 国の会計を監査する連邦会計検査院(ASF)が調査を進めており、INEは調査に協力する姿勢を示している。
- タデイ氏は辞任を否定した。一方、与党モレナからは辞任しても責任追及は免れないとの声が出ている。
委員長の息子と契約業者の「パリ旅行」
メキシコで、選挙を運営する国家選挙機関(INE)のトップ、グアダルーペ・タデイ委員長の周辺に疑惑が浮上しています。現地の経済紙エル・フィナンシエロなどによると、タデイ氏の息子が、INEと取引のある契約業者と一緒にフランス・パリへ旅行していたとされます。報道の見出しには「París a tus pies(パリを君の足もとに)」という言葉が使われ、旅行の様子を表す表現として注目されています。旅費を誰が出したのか、旅行と契約の間に関係があったのかなど、細かい事実関係は今のところ報道でもはっきりしていません。
INEとはどんな組織か
INEは、大統領選挙や連邦議会選挙の運営、有権者名簿の管理、政党への資金配分の監督などを担う独立機関です。メキシコでは身分証明書として広く使われる「有権者証」もINEが発行しており、日本でいえば選挙管理委員会と身分証の発行機関を合わせたような存在です。政治から中立であることが何より求められる組織だけに、トップの家族と契約業者が近い関係にあるという疑惑は、組織の信頼に直結します。
タデイ氏は2023年、下院での抽選を経てINE委員長に就きました。批判する側からは、与党モレナ(国家再生運動)に近いのではないかと以前から指摘されてきた人物です。
会計検査院が調査、委員長は「辞めない」
この件では、国の会計を監査する連邦会計検査院(ASF)が調査を進めているとされます。INEの委員長室は声明を出し、ASFの調査を支持して「法の支配」を守ると強調しました。左派系紙ラ・ホルナダによると、タデイ氏はINEの委員たちとの会合で「私は辞めない」と述べ、辞任しない考えをはっきり示したということです。
与党モレナも距離を置く
与党側の反応も注目されています。有力紙レフォルマは、モレナの中から「タデイ氏が辞任しても裁判(責任の追及)は避けられない」という声が出ていると伝えました。さらに、モレナの幹部からは「モレナは誰のためにも手を出さない(かばわない)」という趣旨の発言も報じられており、与党がタデイ氏を守らない姿勢を見せた形です。
今後は、ASFの調査で契約の手続きや資金の流れに問題が見つかるかどうかが焦点になります。メキシコでは選挙制度の改革をめぐって与野党が激しく対立してきた経緯があり、この疑惑がINEのあり方をめぐる議論にも影響するかもしれません。ただし、ここで挙げた影響は一般的な見通しであり、どう展開するかはまだわかりません。
※本記事はメキシコの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:El Financiero




