
この記事のポイント
- 香港で新設の維修局が年末に始動し、ビル修繕の計画から入札、工事の監督までを一括で支える。
- 利用料は1戸あたり数千香港ドルの見込み。費用を回収する仕組みにするが、高齢者などには補助を出す。
- 租值の低い建物の所有者に総額2億香港ドルを補助。背景には宏福苑の火災を受けた制度の見直しがある。
ビル修繕を「最初から最後まで」支える新機関
香港政府は、老朽化した集合住宅の修繕を支える新しい機関「樓宇維修支援及服務局」(ビル修繕支援・サービス局、以下「維修局」)を設け、年末に業務を始める予定です。現地紙・明報などによると、目玉は「全程服務」と呼ばれるサービスです。維修局が修繕工事の計画、施工業者の入札、工事の監督までをまとめて引き受け、建物の所有者たちを支えます。
香港では、マンションにあたる高層の集合住宅が街の大部分を占めます。築年数の古い建物も多く、外壁や配管の修繕は所有者でつくる管理組合(業主立案法團)が自分たちで進めるのが基本です。ただ、専門知識のない住民が業者選びや工事の監督をするのは難しく、入札の談合や費用の水増しが長年の問題になってきました。
費用は1戸あたり数千香港ドル、補助は2億香港ドル
報道によると、陳茂波(ポール・チャン)財政長官は、このサービスは費用を回収できる仕組みにすると説明しました。利用料は1戸あたり数千香港ドル(1香港ドル=約20円で、数万円から十数万円ほど)になる見込みです。高齢者など負担が重い世帯には補助を出すとしています。
あわせて政府は、租值(差餉租值)が比較的低い建物の所有者に向けて、総額2億香港ドル(約40億円)の補助を用意すると伝えられています。差餉租值は、不動産を貸したときに見込める家賃を基にした評価額で、固定資産税にあたる「差餉」の計算に使われます。この額が低いことは、古くて資産価値の低い建物であることのおおまかな目安になります。補助をこうした建物に絞るのは、修繕の費用を出しにくい層を優先する狙いだとみられます。
見出しでは、すでに入札が済んだ「約1800件」を優先して扱うとも報じられています。ただ、どの段階の案件を指すのか、どう優先するのかといった詳しい中身は、手元の情報だけでははっきりしません。今後の公式発表を待つ必要があります。
背景にある宏福苑の火災
今回の動きは、2025年11月に新界・大埔の集合住宅「宏福苑」で起きた大規模火災と深く関わっているとみられます。この火災では、改修工事の足場や外壁の資材が燃え広がった可能性が指摘され、工事の管理や業者選びのあり方が大きな社会問題になりました。同じ日の現地報道では、火災の調査報告を受けた責任のとり方として、関係する局長の発言も伝えられています。修繕工事の仕組みを見直す動きは、こうした流れの中にあると考えられます。
公的機関が修繕に関わることで、談合を防ぎ、工事の質を保つ効果が期待されます。その一方で、費用を回収する仕組みにすると住民の負担がどこまで軽くなるのか、限られた人員で多くの依頼をさばけるのか、といった点を疑問視する声も出そうです。年末の始動後、実際にどう運用されるかが注目されます。
※本記事は香港の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:明報新聞網




