
この記事のポイント
- 南シナ海で発生した熱帯低気圧がダナンの東約230kmまで接近し、ベトナム中部で激しい雨が続いている。
- ベトナム政府は7省庁と13の省・市に対し、漁船の安全確保や避難準備など警戒対応を指示した。
- 中部は山地が海に迫る地形で雨雲が発達しやすく、9〜11月は毎年豪雨と洪水が起きやすい季節にあたる。
ダナン沖230kmに熱帯低気圧、中部で激しい雨
ベトナム中部の沖合、南シナ海(ベトナムでは「ビエンドン=東海」と呼ぶ)で熱帯低気圧が発生し、中部の主要都市ダナンの東およそ230kmの海域まで接近したと現地各紙が伝えた。低気圧はダナン沖の海域に向かう進路をとり、中部一帯では激しい雨が降り続いているという。
ダナンはベトナム中部を代表する港湾・観光都市で、ハノイ(北部)とホーチミン市(南部)に次ぐ規模の直轄市。日本からの直行便もあり、世界遺産の古都ホイアンやフエへの玄関口としても知られる。その沖合に低気圧が居座る形となったため、中部沿岸の広い範囲が影響圏に入った。
「熱帯低気圧」と「台風」の違い
ベトナム語の「áp thấp nhiệt đới(アップタップ・ニエットドイ)」は日本語の熱帯低気圧にあたる。台風(bão)に発達する前段階、あるいは台風が勢力を落とした後の状態を指す。台風ほどの風速には達していないものの、大量の水蒸気を伴うため、雨量という点では台風に劣らない被害をもたらすことがある。ベトナム中部は東に開けた海岸線と、西側にすぐ山地(チュオンソン山脈)が迫る地形のため、海からの湿った空気が山にぶつかって一気に雨雲を発達させやすい。毎年9月から11月にかけては、中部が集中豪雨と洪水に見舞われる季節にあたる。
政府は13〜15の省・市に対応を指示
現地報道によれば、ベトナム政府は7つの省庁と13の省・市に対し、東海上の熱帯低気圧への対応を求める指示を出した。報道各社によって「15の省・市が対応にあたっている」とするものもあり、対象範囲の数え方には幅がある。指示の中心となるのは、漁船への周知と出漁の管理、低地や河川沿いの住民の避難準備、土砂災害の警戒といった項目とみられる。
ベトナムでは、こうした自然災害に際して中央政府が省庁と地方自治体に横断的な対応指示を出す仕組みが定着している。特に漁業者の安全確保は重点項目で、沖合にいる船舶に位置と気象情報を伝え、避難港へ誘導する運用が繰り返し行われてきた。中部沿岸には小規模な漁船が多く、海上で急変する天候の影響を受けやすいためだ。
日本の読者が押さえておきたい点
ベトナム中部は、2020年の大規模な洪水をはじめ、豪雨による浸水や土砂崩れの被害が繰り返されてきた地域でもある。今回の熱帯低気圧が最終的にどこまで発達し、どの地域に上陸するかは、現時点の報道からは断定できない。進路予報は時間とともに更新されるため、渡航予定者や現地に拠点を持つ企業は、ベトナム国家水文気象予報センターや在ベトナム日本国大使館の発信する最新情報を確認するのが確実だろう。ダナンやホイアンは日本人観光客にも人気の目的地であり、雨季の旅行では交通の乱れも含めて余裕を持った計画が望まれる。
※本記事はベトナムの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Báo VietNamNet




