
この記事のポイント
- 対中スパイ事件で訴追された立法委員の元助理・張俊傑氏が逃亡し、台湾警察が捜索範囲を南部へ広げている。
- 張氏は1,000万台湾ドル規模の保証金を放棄して姿を消し、逃走を助けた疑いの男らが相次ぎ拘束された。
- 台湾では「共諜案」の摘発が相次いでおり、議員事務所の元スタッフという立場から政治的にも注目されている。
台湾の警察が「南へ」追跡を継続
台湾で、対中スパイ事件(現地で「共諜案」と呼ばれる)の被告として訴追されていた男が逃亡し、警察による追跡が続いている。逃げているのは、立法委員(日本の国会議員に相当)である高金素梅氏の元助理(秘書)、張俊傑氏。現地報道によると、警察は逃走ルートが台湾南部へ延びているとみて捜索範囲を南に広げており、2日続けて南部から男性2人の身柄を確保し、逃走に関与した疑いがないか事情を聴いているという。
「元助理」とはどんな立場か
高金素梅氏は、台湾の立法院(国会)で原住民(先住民族)枠の選挙区から長く選出されてきたベテラン議員である。台湾の立法委員の「助理」は日本の議員秘書にあたり、事務所の実務や会計を担うことが多い。現地メディアの一部は張氏を事務所の資金を握る「大帳房」(金庫番)と表現している。ただし、議員本人がこの事件で訴追されたという報道は確認できず、現時点ではあくまで元スタッフ個人の刑事事件として扱われている点は押さえておきたい。
高額の保証金を捨てての逃走
報道によれば、張氏は1,000万台湾ドル(日本円でおよそ4,000万〜5,000万円規模とみられる)という高額の保証金を積んで身柄の拘束を免れていたが、これを放棄する形で姿を消した。台湾の刑事手続きでは、日本と同じように保証金を納めて在宅のまま公判に臨む「交保」が認められる一方、逃亡すれば保証金は没収される。それでも逃げたという事実自体が、事件の重さや本人の置かれた状況を示すものとして現地で注目を集めている。
逃走を助けたとみられる人物も拘束
現地報道では、逃走を手助けした疑いで複数の人物が捜査線上に上がっている。レンタカーや「白牌車」(営業許可のない自家用車を使った白タク)で移動を支援したとされる男が、裁判所の許可を得て接見・通信を禁じられた勾留(羈押禁見)となったほか、共犯とされる人物が中西部の雲林県で拘束されたとも伝えられる。人数や役割の詳細は捜査中で、報道各社で説明に幅がある。
台湾で「共諜案」が持つ重み
台湾では近年、中国側に情報を渡したり組織づくりに関与したりしたとして、退役軍人や政治関係者らが摘発される事件が相次いでいる。国家安全法などに基づくこうした案件は「共諜案」と総称され、選挙や対中政策をめぐる論争と結びつきやすい。今回の一件も、議員事務所の元スタッフという立場ゆえに、政治的な文脈で語られやすい構図にある。
「本当にまだ台湾にいるのか」
現地では、張氏がすでに国外へ出たのではないかという見方と、島内に潜伏しているという見方の両方が出ている。法律家からは事件の構図そのものを疑問視する懐疑的なコメントも紹介されているが、いずれも確定した事実ではなく、一般的な推測の域を出ない。台湾は島であり出入国の管理は比較的しやすい一方、小型船を使った密航ルートの存在も過去に指摘されてきた。捜査の進展を待つほかない段階である。
※本記事は台湾の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:UDN




