
この記事のポイント
- 台北市長選に臨む沈伯洋氏の夜市での街頭活動に、大勢の人が詰めかけたと報じられた。
- 沿道で掲げられた「私は中国人だが沈伯洋を選ぶ」のプラカードが現地で話題を集めた。
- 名前にちなんだ造語「洋流」が広がるが、実際の得票に結びつくかは未知数だ。
台北の夜市に人だかり、候補者の「掃街」が話題に
台湾では2026年の統一地方選挙(通称「九合一選挙」。市長・県知事や地方議員など9種類の選挙を同じ日にまとめて行う仕組み)に向け、選挙戦が本格化している。その中で現地メディアが相次いで取り上げているのが、台北市長選に臨む与党・民主進歩党(民進党)の沈伯洋(シェン・ボーヤン)氏の街頭活動だ。台北市内の景美夜市や公館夜市を「掃街」して回ったところ、通路が人であふれるほどの人出になったと報じられた。掃街とは、候補者が商店街や市場、夜市を練り歩き、有権者一人ひとりと握手を交わしていく台湾ではおなじみの選挙活動で、動員力を測る目安として注目されやすい。
「我是中國人我選沈伯洋」のプラカード
とりわけ話題になったのが、沿道の市民が掲げた一枚のプラカードだ。そこには「我是中國人我選沈伯洋(私は中国人だが、沈伯洋を選ぶ)」と書かれ、本人と並んで記念撮影する場面が報じられている。台湾では、自らを「台湾人」「中国人」「その両方」のどれと捉えるかというアイデンティティの問題が政治的な立場と結びつきやすく、「中国人」と自認する層は一般に最大野党・中国国民党(国民党)寄りとみられることが多い。沈氏は偽情報対策やディスインフォメーション(意図的な誤情報の拡散)研究で知られる学者出身の立法委員(国会議員に相当)で、中国からの情報工作への警戒を訴えてきた人物だ。それだけに、この一枚は現地で「異温層(自分とは考え方の異なる層)を突破した」象徴として受け止められた。ただし、プラカードを掲げた人物の詳しい意図や背景は明らかになっておらず、支持の広がりをどこまで示すものかは断定できない。
ネットで生まれた造語「洋流」
一連の人だかりを受け、名前の一字「洋」にちなんだ「洋流(海流の意味)」という造語が、沈氏の集客ぶりを指す流行語のように使われ始めている。台湾の選挙では過去にも、特定の候補者への熱狂を気象や海流になぞらえて表現する言い回しが生まれてきた。もっとも、こうした「ブーム」が実際の得票にどうつながるかは別問題で、現地でも冷静な見方は少なくない。
現職との対決構図
台北市長選の現職は国民党の蔣萬安(ジャン・ワンアン)氏で、沈氏はこれに挑む立場となる。首都・台北の市長ポストは次期総統選をにらんだ政治的な意味合いも大きく、台湾全体の政局を占う一戦として注目度が高い。夜市の人出やプラカード一枚が情勢を決めるわけではないが、告示前から街頭の空気が細かく報じられること自体が、台湾の選挙文化の熱量を物語っている。
※本記事は台湾の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:三立新聞




