
この記事のポイント
- 香港政府が高齢者の在宅介護を担う外国人ケアワーカーの新たな受け入れ枠を構想している。
- 応募には3年以上の実務経験を求め、賃金は既存の外国人家事労働者より1〜2割高く設定する方針。
- 急速な高齢化を背景とした施策で、人数上限や資格認定などの詳細は今後の検討課題として残る。
香港の施政報告で示された「外国人ホームケアワーカー」構想
香港で、高齢者の在宅介護を担う外国人ケアワーカー(外籍家居照顧員)を新たに受け入れる構想が示された。労働福祉分野を所管する孫玉菡(そん・ぎょくかん)労働福祉局長が、施政報告に関する説明の中で明らかにしたもの。応募者には最低3年の実務経験を求め、賃金は現行の外国人家事労働者(香港で「外傭」と呼ばれる住み込みのヘルパー)より1〜2割高い水準に設定する方向だという。
「施政報告」とは、香港特別行政区の行政長官が毎年秋に発表する施政方針演説のこと。日本でいえば所信表明演説に近く、翌年度以降の政策の柱がここで一括して打ち出されるため、香港社会では毎年大きな注目を集める。
なぜ「家事労働者」とは別枠なのか
香港には東南アジア出身を中心に多数の外国人家事労働者が住み込みで働いており、共働き世帯の家事や育児、そして事実上の高齢者の世話を支えてきた。ただし彼女ら・彼らは家事の担い手として雇用されており、介護の専門的な訓練を前提とした制度ではない。今回の構想は、介護を本来業務とする別カテゴリーを設け、経験要件と相応の賃金を組み合わせることで、家事労働との線引きを図るものとみられる。
賃金を家事労働者より高く設定する狙いは、報道からは明示されていないものの、一般論としては、介護という重い責任に見合う処遇を確保しつつ、既存の家事労働者の賃金水準に不用意な影響を与えないよう配慮する意図があると考えられる。
背景にある急速な高齢化
香港は世界でも有数の長寿地域である一方、出生率の低さもあって高齢化の進行が速い。施政報告に合わせて政府は高齢化対応をまとめた報告書も公表しており、介護人材の確保はその中核的な課題に位置づけられている。施設介護だけでなく、住み慣れた自宅で暮らし続けるための在宅サービスをどう支えるかが焦点だ。
日本にとっても他人事ではない
日本もまた、EPA(経済連携協定)や特定技能、技能実習といった枠組みで介護分野の外国人人材を受け入れてきた。経験年数の要件をどう設定するか、賃金水準をどこに置くか、そして受け入れた人材が定着するかどうかという論点は、香港と日本でほぼ重なる。香港の制度設計がどう具体化され、どの程度の人数が実際に集まるのかは、同じ課題を抱える日本にとっても参考になる事例といえる。
なお、現時点で示されているのは方針レベルの内容であり、受け入れ人数の上限、対象国、資格の認定方法、雇用主となるのが家庭か事業者かといった詳細は今後詰められる見通しだ。介護者への手当など関連する支援策をめぐっては、支援が十分ではないとの声も香港内で上がっており、制度の実効性は運用の細部にかかっている。
※本記事は香港の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:hk.news.yahoo.com




