
この記事のポイント
- 台湾の中科院が嘉義県民雄に航空宇宙パークを着工し、頼清徳総統が着工式に出席した。
- 米国と協力して開発した射程約1000キロの攻撃ドローン「勁蜂四型」を、この拠点で量産する計画だ。
- 中国に対抗する非対称戦力の強化と、中国製部品に頼らないドローン供給網づくりが背景にある。
嘉義県民雄に新しいドローン生産拠点
台湾中南部の嘉義県民雄郷で、軍の研究開発機関「国家中山科学研究院(中科院)」の航空宇宙パーク(民雄航太園区)が着工しました。着工式には頼清徳総統が出席しています。台湾メディアによると、米国と協力して開発した射程約1000キロの攻撃型ドローン「勁蜂四型(ジンフォン4型)」を、この拠点で量産する計画です。
中科院は、台湾の国防部(日本の防衛省にあたる)の系列にある研究機関です。ミサイルや軍用機器の開発を担い、日本でいえば防衛装備庁の研究部門に近い役割を持っています。
「あとは東風を待つだけ」
頼総統はあいさつで、台湾のドローン産業について「只欠東風(あとは東風を待つだけ)」と述べました。三国志の赤壁の戦いに由来する言葉で、「準備はほぼ整い、最後のきっかけを待つばかり」という意味です。報道からは、研究開発と生産の体制づくりが進み、本格的な量産と産業化がいよいよ始まる段階だという認識がうかがえます。
「勁蜂」シリーズは中科院が開発する攻撃型ドローンの系列です。1000キロという射程は、台湾本島から台湾海峡を越え、中国大陸沿岸部の広い範囲に届く距離にあたります。ただ、具体的な性能、量産の規模や時期、米国側の協力の中身などは、今回の報道の範囲では詳しく明らかになっていません。
背景にある「非対称戦力」の重視
台湾は、軍事力で大きく上回る中国に対抗するため、比較的安く大量に配備できる兵器で相手の侵攻コストを高める「非対称戦力」の強化を進めています。ロシアによるウクライナ侵攻で、ドローンが戦場で大きな役割を果たしたことも、この流れを後押ししました。
台湾政府はここ数年、軍用・民生の両面でドローン産業の育成を重要政策に掲げてきました。その狙いの一つとして、中国製の部品に頼らない「非レッド・サプライチェーン」を築き、米国をはじめ民主主義国の市場へ供給する拠点になることを目指しています。嘉義県は2022年に「亜洲無人機AI創新応用研発中心(アジア・ドローンAIイノベーション応用研究開発センター)」が開設されるなど、ドローン産業の集積地として整備されてきました。今回の中科院の拠点は、その流れをさらに強める位置づけとみられます。
今後の焦点
今後の焦点は、量産が計画どおりに進むか、そして米台の防衛産業協力がどこまで広がるかです。長距離の攻撃ドローンの配備には、中国側が強く反発することも考えられ、台湾海峡の緊張への影響にも注目が集まりそうです(この点は編集部の見立てです)。
※本記事は台湾の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:自由軍武頻道




