
この記事のポイント
- フィリピン上院の弾劾裁判所が、サラ副大統領の弟バステ・ドゥテルテ氏を「敵性証人」に認定した。
- 副大統領との関係が指摘されるGenCorpが、公開入札なしで11件の契約を受注したと報じられている。
- バステ氏は、姉から同社の優遇や調達への介入を頼まれたことはないと証言し、関与を否定した。
弾劾裁判で副大統領の弟が「敵性証人」に
フィリピンで審理が続くサラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾裁判で、上院の弾劾裁判所は2026年9月29日、副大統領の弟セバスチャン・“バステ”・ドゥテルテ氏を「敵性証人(hostile witness)」と認定しました。現地の国営通信フィリピン通信社(PNA)などが伝えています。バステ氏は、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の息子で、一家の地盤である南部ミンダナオ島ダバオ市を拠点とする政治家です。
「敵性証人」とは
敵性証人とは、自分を呼んだ側に対して非協力的だったり、不利な証言をしたりすると判断された証人のことです。この認定を受けると、証人を呼んだ側は、答えを誘導するような質問(誘導尋問)を使えるようになります。一般的には、証言を引き出しにくい証人から供述を得るための手続きとされています。どちらの側がどのような理由で認定を求めたのか、詳しい経緯は報道の範囲では断定できませんが、バステ氏の証言が審理の焦点の一つになったことはうかがえます。
争点は関連企業「GenCorp」の契約
今回の証人尋問で取り上げられたのは、副大統領とのつながりが指摘される企業「GenCorp」をめぐる問題です。現地紙フィルスターは、GenCorpが受注した11件の契約で公開入札が行われていなかったと報じています。経済紙ビジネスワールドも、この企業に利益相反の疑いがあると伝えています。
これに対しバステ氏は、姉のサラ氏からGenCorpを優遇するよう頼まれたことはなく、調達手続きに介入するよう求められたこともないと証言しました。副大統領側の関与を否定した形です。
フィリピンの弾劾制度と今後
フィリピンの憲法では、下院が弾劾訴追を決め、上院が「弾劾裁判所」として審理します。有罪とするには上院議員24人のうち3分の2以上の賛成が必要です。有罪になると罷免され、公職に就く資格も失うことがあります。
サラ氏は2028年の次期大統領選の有力候補とみられてきました。そのため、この裁判はマルコス大統領派とドゥテルテ家の政治対立とも重ねて見られています。家族が証言台に立ったことで、審理はさらに注目を集めています。公開入札を経なかった契約の経緯と副大統領の関与の有無を、検察側がどこまで立証できるかが、今後の焦点になりそうです。
※本記事はフィリピンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Philippine News Agency




