
この記事のポイント
- カーニー首相がバンクーバーで、海洋保全に12億カナダドルを拠出すると発表した。
- アルバータ州とBC州を結ぶ440億ドル規模の石油パイプラインについて、迅速承認するかの判断が近く示される見通し。
- 太平洋岸の環境や先住民族への影響をめぐる反発を和らげる狙いもあるとみられ、開発と環境の両立が問われる。
バンクーバーで12億ドルの海洋保全策を発表
カナダのマーク・カーニー首相は、西部ブリティッシュコロンビア(BC)州の中心都市バンクーバーを訪れ、海洋保全に12億ドル(カナダドル)を拠出すると発表しました。カナダの主要メディアが一斉に報じています。発表のタイミングも注目されました。アルバータ州からBC州の太平洋岸へ原油を運ぶ、総額440億ドル規模とされる石油パイプライン計画について、政府が迅速承認の対象にするかどうかを近く判断する見通しだと伝えられているためです。
「大型プロジェクト」を急ぐカーニー政権
カーニー氏は中央銀行総裁の経験を持つ経済の専門家で、2025年に首相に就きました。米国の関税政策などで経済の先行きが不透明になるなか、政権は資源開発やインフラ整備といった「国家的な大型プロジェクト」を経済の柱にしています。許認可手続きを短縮する仕組みも整えてきました。今回の訪問でもカーニー氏は、液化天然ガス(LNG)輸出ターミナルの拡張を例に挙げ、「カナダに必要なのはこうした事業だ」という趣旨の発言をしたと報じられています。
なぜ海洋保全とセットなのか
BC州の太平洋沿岸は、サケやシャチなど豊かな海の生態系で知られます。先住民族にとっても、暮らしや文化と深く結びついた海です。石油パイプラインが太平洋岸まで延びれば、タンカーの往来が増え、原油流出のリスクが高まるとの懸念が根強くあります。このため、過去のパイプライン計画では環境団体や一部の先住民族、BC州政府が反対し、長い論争になってきました。
今回の海洋保全策の詳しい使い道は、現時点の報道の要約からは明らかではありません。ただ、パイプライン判断の直前に打ち出されたことから、「開発を進めても海の環境は守る」という姿勢を示し、反発を和らげる狙いがあるとの見方ができます。もっとも、これは編集部の推測です。
今後の焦点
焦点は、政府がパイプライン計画を迅速承認の対象とするかどうかです。承認に進めば、資源産業の比重が大きいアルバータ州は歓迎するとみられます。一方、BC州の環境団体や沿岸の先住民族からは反発が出る可能性があります。エネルギー輸出による経済成長と環境保護をどう両立させるかは、カナダが長年抱えてきた課題です。今回の判断は、カーニー政権の姿勢を占う試金石になりそうです。
※本記事はカナダの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Global News




